かずひで

13件のレビュー

レビュー

短編が繋がっていてとても面白かった。幸せというのは起こっているけど、それを幸せと感じるかは捉え方次第だと思う。そして捉え方を変えて得た小さな幸せはとても大きくなるように。自分の知らないところで幸せは繋がっているかと思うと少し面白くなりそうかも。

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木曜日にはココアを

木曜日にはココアを

青山美智子

とてもコミカルで痛快であった。とても純粋で正義感の塊のような主人公と、嫌味な先生方の攻防が面白かった。現実には存在しえない主人公と現実に存在しうる先生という理想を求め現実に立ち向かう構図が良かった。また西洋文化の流入期であり、和洋折衷の加減に対しどれくらい目を瞑るかなど時代を表しており、社会勉強にもなった。

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坊っちゃん

坊っちゃん

夏目漱石

友情と恋愛の王道テーマであるが、唯一であったと思う。個人的にはフラれることは悲しいことではないという結末が良かった。主人公の成長も描けており、面白った。

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友情改版

友情改版

武者小路実篤

おおよその物事の事象には必ず直前に原因が存在し、私たちはその原因に焦点を当てる。しかし直後に焦点を当てる行動分析学というのは大変興味深い学問である。生物の行動の不確定さを表す一つの例として、ギャンブルの世界で競馬は競艇よりも難しいと言われている。その理由として競艇は生物×機械であるのに対し競馬は生物×生物であるからだ。私は本著で述べられている通り、行動分析学を用いて人の行動を変えるということに大いに賛成であり、寧ろ積極的に取り入れていきたいと思う。しかし人の行動というものは単純なものばかりではない。また同じ人間であっても国や人種、宗教観などの環境によって大きく変わってくるはずだ。そのため単純な状況下ではない時に、私はどのような行動をとるべきなのか。そう考えた際、私は経験が大切なのではないかと思う。奇しくもそれは「オペラント行動」であり、行動分析学である。そのため私はより多くの経験をこの先していきたいと思う。

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メリットの法則

メリットの法則

奥田健次

この本はスティルライフとヤー・チャイカの2本が書かれている本である。不思議な主人公から見る世界観や描写が綺麗で心の隅を埋めてくれるような内容であった。とにかく美しく触れた途端に崩れそうであった。いい小説である。

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スティル・ライフ

スティル・ライフ

池澤夏樹

最後の行で散らばってた違和感がミステリーとなった。ただの恋愛小説ではなく面白かった。非常に上手く騙された小説であった。そして見た目もSideAとSideBとなっており、タイトルも曲の名前とアルバムのようであった。そこもまた面白く、まさにイニシエーションであった。

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イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ

乾 くるみ

一般的な時代小説とは少し異なる時代小説であった。自然を描写する場面が多く、日本人の心に深く共感を呼ぶものであった。詩情的でありとても良かった。また冒頭の悠然とした立ち上がりはいい。文四郎の成長とふくの生涯、時代的な理不尽さとその中でしかえれない幸せ。とにかく面白かった。

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蝉しぐれ

蝉しぐれ

藤沢 周平

人に対して殴ったりナイフで刺したりとすると暴行罪や傷害罪として扱われ、処理される。しかし必ずしも「悪」に名前がついているというわけではない。名前がついてない悪、そしてその悪を作る毒。これは特定の原因があるわけではないがそのためにたちが悪い。それでは名もない毒というのに私たちはどう立ち向かえばいいのだろうか。そしてどう処理すればいいのだろうか。生きるということは様々な事がありそれが複雑に絡まる。そのどれかに不具合が生じると人は生きづらくなる。難しいテーマを扱ってあり、とても考えた。

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名もなき毒

名もなき毒

宮部 みゆき

この小説は単なる戦争小説ではないと感じた。物語には上手いと感じる技術があった。それは物語を感受性豊かであり、精神的にも発達段階である子どもを主人公としたことや、お母さんの心理描写が少なく謎が多いことや、戦後の女性が多く出てきたことである。敗戦国の生活事情は多く取り上げられてきたが、性に関する事に真っ向から取り組んだものはあまりなかったのではないか。また主人公がさほど不幸ではないという点も他の戦争小説とは異なる感想を持たせたのではないだろうか。不幸ではないからこそのつらさや世の中の不条理さを如実に表していると受け取ることもできるそんな小説であった。

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水曜日の凱歌

水曜日の凱歌

乃南 アサ

東野圭吾の代表作であるという「白夜行」。物語を読んでミステリーの傑作だと思った。物語に大きく関わる桐原と雪穂。その2人の心情について一切書かれていないが、その周りや事件など関連する事柄が彼らの心情をより正確に表していく様がとても面白かった。こういうのはハードボイルド小説に多いのだがとても難しいところをやってのけ凄いと思う。展開が間歇的に起こるのは読んでいてとてもいい。そしてその展開も真相をより肥大かする要素となり凄いと思った。これは一度は読まないといけない傑作である。

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白夜行

白夜行

東野圭吾

とても面白く他のミステリー作品とは一線を画すものであった。捜査一課長の佐伯刑事としての正義溢れる戦いと娘を殺された後のサイコパス極まりない振る舞いが交互に書かれており人間の脆さというものに考えさせられる話であった。自分にとって命よりも大切なものを失った時人はどうなるのか。その答えは何なのか。大きすぎる正義は崩壊と共に絶対値はそのままでプラスマイナスが逆になってしまい元には戻れない。人間という生き物について問いたくなるいい小説であった。

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慟哭

慟哭

貫井徳郎

かがみの孤城の上下を読んだ感想を書く。

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かがみの孤城 下

かがみの孤城 下

辻村 深月

人が生きるというのはどういうことなのだろうか。心臓が止まった時、人は死ぬのだろうか。そのどちらにも「意識」の存在が重要である。結合双生児として2人の人間が1つの体を共有する。意識は2つだが命は1つ。1つの命に一つの意識ではないため、より意識とは何なのか突きつけられた。現実で心臓が正常に動いていたら意識だけが死ぬというのは珍しいかもしれない。しかし意識が生きてるとか死ぬとかの境界線というのは一体どこからなのか。答えというのは簡単には出せないが、考えていかなければならない議題であり、命題である。

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サンショウウオの四十九日

サンショウウオの四十九日

朝比奈 秋