慟哭

慟哭

貫井徳郎
東京創元社 (1999年3月1日発売)
ISBN:9784488425012
本棚登録:175

作品紹介・あらすじ

連続する幼女誘拐事件の捜査が難航し、窮地に立たされる捜査一課長。若手キャリアの課長を巡って警察内部に不協和音が生じ、マスコミは彼の私生活をすっぱ抜く。こうした状況にあって、事態は新しい局面を迎えるが……。人は耐えがたい悲しみに慟哭するーー新興宗教や現代の家族愛を題材に内奥の痛切な叫びを描破した、鮮烈なデビュー作。

感想・レビュー (1件)

とても面白く他のミステリー作品とは一線を画すものであった。捜査一課長の佐伯刑事としての正義溢れる戦いと娘を殺された後のサイコパス極まりない振る舞いが交互に書かれており人間の脆さというものに考えさせられる話であった。自分にとって命よりも大切なものを失った時人はどうなるのか。その答えは何なのか。大きすぎる正義は崩壊と共に絶対値はそのままでプラスマイナスが逆になってしまい元には戻れない。人間という生き物について問いたくなるいい小説であった。