匿名ユーザー
レビュー
終戦前の上海へバツイチの船会社の画家令嬢が1人降り立つ 上海の街を案内する男は実は特高で、過去の離婚をネタにスパイ活動をさせられる 主人公の複雑な心情と過去が段々分かってきて戦争のスパイ活動の中ドキドキしながら主人公を応援していた 最後まで気高い主人公の強さ 時代に翻弄されながらも安心して読み終えて清々しい気持ちになった

月下上海
山口 恵以子
自由奔放で出て行った妻と死別した高校の国語の先生と近所の居酒屋でほど良い距離感で飲む独身女性 段々先生が好きになり付き合い出す 初老の先生と若い女性との恋愛が気持ち悪く感じるが我儘を言ったり不安になったりと心の揺れが素直で静かで淡々としていてドロドロしたり辛い年の差の恋愛とはまたちょっと違う感じがした 先生もディズニーへ行ったりして女性の願望をきちんと受け止めて真面目に付き合っていた 最後は先生が亡くなった描写が息子からの生前はお世話になりました 先生死んじゃったけど2人は多分いい恋をしたと思う

センセイの鞄
川上弘美
久々に一気に読んだ作品 専業主婦が旅行と掃除を兼ねた会社に働き出す そこの女社長の過去と専業主婦の現在の葛藤が行ったり来たりして話が進むのは場面が変わって面白い 森絵都のあとがきのを読んで始めて気が付いた会社名「プラチナプラネット」これは社長が高校生の時に約束した友達と関係があった!あとがき読んで良かった

対岸の彼女
角田 光代
全く知識がなく続編の「星を編む」から読んでしまったのでその後の話は知っていたにも関わらず、若かりし頃の櫂と暁海がこんなにも苦しみや悲しみ又フレッシュな青春があった 「汝星のごとく」はこの二人の話が軸になり、「星を編む」はこの二人を取り巻く外野だった人達の其々の話 この2部構想で其々の人生が描かれていて面白い 才能があっても苦労が多い櫂、皆が幸せなことばかりではないけどこれは現実でもそう でもそれぞれ納得して前に進んで行く姿に元気を貰った

汝、星のごとく
凪良 ゆう
山に住む猟師の話。嫌な街に下りては物好きな良家に狩猟で捕った物を売りに行く そこの家の目が見えない良家の旦那の子供をはらんだ陽子と山に住み自分の子供も孕ませ最後は陽子に殺されて死ぬ 明治の時代の変わり目で自然と文明とを行き交う猟師熊爪、熊との戦いや一緒に過ごす犬、そして人間たちの生死。 陽子に殺されても納得して死んでいく熊爪 最後は文明社会の人間たちも戦争や病気で死んでいくのだが熊爪の死は自然の山で起きている獣たちと同じ様に感じる 陽子は何故熊爪を殺したのかはっきり分からなかったが面白くて一気に読み終えた

ともぐい
河崎 秋子