
レビュー (20件)
汝、星のごとく。青埜櫂。 刺繍作家、井上曉海。 瀬戸内海の島で、出会い、恋をする。 いろんな愛の形。北原先生、達観している、と思ったのはそういう過去があったからかあ。自立しているのって、自分の基盤になるから、大事だと思うよね。
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非常に美しい。著者の凪良先生の作品は、登場人物それぞれの人間らしくて生々しい凪のような心情変化に巧みに起承転結を伴わせ、最後には清々しい気分にして終わらせてくれる。感情移入させるのに非常に卓越している文章構成で、主人公の井上暁美と青埜櫂の状況的な苦しさや心情の移り変わりに比例して、気分が鬱々しくなり不快感やむかむかまで感じるほどの技巧さである。2人が再び巡り合うまでのまったく別々の人生歩む期間にも、それぞれの喜怒哀楽を伴う人生があり、それにより影響される人生観があり、すべての経験を経て今があり今の考えになれるのだと思った。世間が"異常"と判断することはたくさんあるが、当人が自分や想う相手のためを思って決断したことを他人は評価できないし、その評価には何の意味も持たない。
全く知識がなく続編の「星を編む」から読んでしまったのでその後の話は知っていたにも関わらず、若かりし頃の櫂と暁海がこんなにも苦しみや悲しみ又フレッシュな青春があった 「汝星のごとく」はこの二人の話が軸になり、「星を編む」はこの二人を取り巻く外野だった人達の其々の話 この2部構想で其々の人生が描かれていて面白い 才能があっても苦労が多い櫂、皆が幸せなことばかりではないけどこれは現実でもそう でもそれぞれ納得して前に進んで行く姿に元気を貰った
途中までは登場人物の繊細の心の変化に同調して続きが気になり夢中で読んだ。結末に向かうまでは、これ見よがしに切なさを盛ってきて、ちょっと胡散臭いというか、わざとらしさが出てきちゃったような気がするなあ、まあ、おもしろかった。
面白かった。 Nのためにからミステリー要素を排除して、恋愛に特化させたような。 所々いまいち納得できない箇所はあった。 別れを伝えてから、相手のメールに一切返事をせず、何年も過ぎても実は好きとか。 それを考慮しても面白い。2度読みしたい。
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めちゃくちゃ良かった。切なすぎて読みきるのが辛い部分もあったけど。人の心はその人にしか究極、分からない。だから大事なことはきっと言葉にしないといけない、話さないといけない。相手に伝わるまで、自分でさえまとまってない言葉で伝えなければならない。そこから逃げてしまうと少しずつずれてきて、後々取り返しが利かないことになってしまう。人間関係は本当に難しい。
10代、20代、30代と歳を重ねるなかで、希望に満ちた出来事が起きれば絶望に貶められる。それらを繰り返しながら誰のために何のためにという目的を見失ってしまっても、最後の最後で自分が何をやりたいか優先し、選べるように自分の足元を固めておくことの重大さを見せつけられた。結局は他人が何と言おうと自分が選んだ道を自分自身だけでも正解だったと言えるように、自分が正解にするしかない。櫂と暁海が紆余曲折という言葉では表しきれない道のりを経て、また巡り会えたこと、北原先生や、母親との関係性、計り知れない想像すらできない無数の人物や事物の絡まりの先に自分の望むものがあるようにするのは自分次第なのだろう。 『幾億光年』という曲がこの小説をもとにかいたのかと感じるほど、櫂と暁海の関係性をうたってるようにとれる。