バリ山行

バリ山行

松永K三蔵
講談社 (2024年7月29日発売)
ISBN:9784065369609
本棚登録:97

作品紹介・あらすじ

第171回芥川賞受賞作。古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で職場で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をし...

感想・レビュー (5件)

山登りは好きじゃないし海派 でもバリで藪を抜け崖を上り自分と山と無になりながら進んでいく。 著者はやはり同じ様な風景や感覚に陥ったのだろうか。 知らない世界は描けないので多分経験したのだろう。 最後に主人公と妻鹿さんと山で遭遇出来るのか、どんな終わり方をするのかワクワクしたがやはり偶然の出会いはなかった。 でもあの青いタータンチェックのマステを山で見つけた最後にはヤラレタ!

登山の、特にバリの描写がとても良かった。 街の日常のどうしようもできない不安と焦燥感と山でバリをする時の高揚感が面白かった。 妻鹿さんも魅力的、妻鹿さん何処に行ったのかなぁ

道無き道を登るバリエーション登山、バリ山行。 将来のこと会社のこと心配ごとはたくさんあったはずなのに、道無き道をかき分け崖をのぼり、時には滑落し、緊張感とスリルに生きている実感を味わううちに、最初は反対していたバリ山行にはまってしまうお話。

バリはバリエーションの略。