ヴォンカ
レビュー
ダークな内容はめったに読まないけど、これは面白かった。私ならあまりに頭の弱い人の世話なんてできない。大人の赤ちゃんのおもりは無理。離れれば自分で好きなように生きられるのに、それをせず、最後、殺される、リンチにその人が合うのを恐れて自分の手で殺すことになるなんて。しかも、相手をいい気持ちにさせ苦しまないように。これは深い愛情なのか?消えてほしくて、自由になりたくてそうしたのかと思ったが、殺そうと思えば、離れようと思えばいままでもできたはず。 偏見や差別の生々しさ。優しさともどかしさがなんとも言えない。いろいろ考えさせられた。
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ハツカネズミと人間
スタインベック
いやー、最後のさいごで捕まると思ったけど、見事な快進撃!なりきるのと、運でそこまで行くなんて。ただ、溺死体があがってこないとは言いきれないけど。一生ヨーロッパをあちこち旅行しながら生きられるのはうらやましい、人を二人死なせたという苦しさからは解放されるのだろうか。ある意味努力はしたのではあるな。世渡り上手とはこのことか。究極過ぎるけど。マネもできないししたくもないけど。
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太陽がいっぱい
パトリシア・ハイスミス/佐宗鈴夫
途中性の生々しい表現が出てくるしその場面も多く、気持ち悪くなってやめたくなった。 人はいろんな顔、相手や環境によって順応しようとキャラが変わる、それを意識して使い分けするなんて考えたこともなかった。あからさまな男尊女卑や性に対する考え方にもショック。 後半また展開があり惹き付けられ、下巻の続きが気になる。

世界99 上
村田 沙耶香
生きていく上での最良の武器は、理屈でも腕力でもない、ユーモアだ。 どれほど多くの知識を詰め込んでも、自分の頭で考え、自分の足で歩かなければ、すべては空虚な借り物でしかない。 私はただの物知りになりたいのか? 読むのはよい、けれど読み終えたら、次は歩き出す時間だ。 何も変わらない、と嘆くだけの無気力な見物人になるでない、君自身が旅を続けなさい、メロスが最後まで走り続けたように。 自分を信じなくてどうする。どんなことでもいい、少しでも自分の足で踏み出してみよう。選択肢などないという言葉は、ただの思い込みところか、言い訳でしかなかった。選ぼうと思えば道はいくらでも四方に広がっている。選ぶか流されるか、それだけの問題。言葉は力となり、また自分で歩みだすことを決めよう。 最後の盛り上がりには少し欠けたが、今の自分に必要な言葉がたくさんあったし、気づかされた言葉もあった。
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本を守ろうとする猫の話
夏川 草介
タイトルが素敵。助けを求めてる声が聴こえますように、という願いを感じる。そして、自分がその声を受け取り、役に立てるように。私はそこまで人のちからになりたいだろうか。どこか他人事であるこの世の中。とても心に染みた。

52ヘルツのクジラたち
町田そのこ
家出先がメトロポリタン美術館なんて素敵!一人でしか家出したことないし、お金持って、と考えたこともなかったのでいつも近距離だった。クローディアの頭のよさとウィットにとんだ弟への返しが好き。弟のゲームでずるして勝つところも嫌いじゃない。おばあさんの、お金より秘密のが持ちたい、というのに驚き。素敵な人。母親になってみたかったおばあさんの気持ちをくんで自分達のお母さんにするには一人いるから亡くなったおばあさんの代わりに、自分達のおばあさんにしたいというのが可愛いくて、心が温まった♡

クローディアの秘密新版
E.L.カニグズバーグ/松永ふみ子
タイトルからは創造できない少し重い内容に驚いた。自殺というショッキングな出来事なのに、ネガティブな感情はわかないのはやさしい表現とリズムからか。死はみんなに平等に来るから、最後に一緒にいたい人と、終わらせたいタイミングを選んだ。自分ならどうかと考えさせられた。

ひとりでカラカサさしてゆく
江國 香織
私には難しかった。毎日読書を十年している上級者向けでしょう。登場人物、子供が産まれると親と同じ名前をつけるので、ややこしくて覚えられない。とにかく話が微々たるところまで詳細で、まるで本当にあったことのよう。でも、死んだはずの人が何度も現れては死ぬようなマジックリアリズム?はすごかった。結局人間は孤独と闘い、孤独を愛し、孤独を恐れる生き物なんだと。最後は独り。生き方だよな、やっぱり一番大切なこと。

百年の孤独
ガブリエル・ガルシア=マルケス/鼓 直
12歳のリツ君、大人への質問や大人とのやりとりが魅力的。自分の仕事にやりがいを見いだしてる大人たち。自分に合う仕事は何なのか探すリツ君。楽しく暮らしたい、という目的にどんな仕事がいいのか、をあらためて考えさせられた。

つむじ風食堂と僕
吉田篤弘
段々と光が見えてくるストーリー。そういうことだったのか!こころにとって現在は誰かの過去で、誰かの未来。喜多島先生が、まさか、あのアキだとは!いい意味でショックだった。リオンと同じ時(年)なのはなぜ?二人選んだ理由は?という疑問は残った。

かがみの孤城 下
辻村 深月
ヤバイ。2日で読み終えた。ずっと胸が詰まり、お腹がぎゅっと固くて緊張した感覚で先を知りたくて止まらなかった。自分の引っ越しをして転校したとき、うまく行かない人間関係のとき、寂しさや孤独や仲間外れされた気持ちが甦ってきてちょっと辛かった。下巻でどんな展開になるのか楽しみ。

かがみの孤城 上
辻村 深月
相変わらず面白い。半年で旅を終える予定も、なぜ急がなきゃならないのか、途中で長く滞在したい場所や見たいことが増えたりする、と世界一周を三、四年かけてする若い男二人組に会って気づく。ローカルフードに慣れ、ローカルピープルとの触れあいが見どころだった。

深夜特急2
沢木 耕太郎
女同士の友情はいいな。自分がダメになったときに心配してくれる、何も頼まなくてもそばにいてくれる、そういう存在がいるというだけで、何とか一歩踏み出せる。 私にはそこまでの友人はフランスにはいない。十年住んでるけど、仲良くなってはケンカしたり、なめられたり、利用されたりが多く、もう別に友人を作る気はなくなった。みんな自分が一番。損得なしに付き合える関係なんてめったに築けないことが改めてわかった。

BUTTER
柚木 麻子