
レビュー (16件)
タイトルが素敵。助けを求めてる声が聴こえますように、という願いを感じる。そして、自分がその声を受け取り、役に立てるように。私はそこまで人のちからになりたいだろうか。どこか他人事であるこの世の中。とても心に染みた。
途中から読む手を止めることができず読了。 ほんの少しの掛け違いや思いやりが人を大きく変えるものだと感じた。 そして、人の声にちゃんと傾けること、受け取るばかりでなく、与えられる人間になりたいと思った。 周りには支えてくれる人がいる事を分かった貴瑚と愛が平和に暮らせる事を切に願う。
1人、海辺の街に住み着いた貴瑚。 田舎での煩わしい人間関係が嫌になっていた。そんな中、1人の少年に出会う。ムシと呼ばれ、実母からネグレクトを受けていて、喋れなくなっている少年。そんな彼に貴瑚は通じるものを感じる。 貴瑚は52ヘルツのクジラの話を伝え、彼を52と呼ぶことにする。52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く孤独なクジラのこと…。 貴瑚には悲しい過去があった。 実家で受けていた虐待のこと、そんな環境から助けてくれた恩人がいたこと。そんな恩人の愛に気付かず失ってしまったこと。 この小説のあらすじは書くことは簡単なんですが、魅力はそこにはないと思います。 全ては出会いなんだと思わせる小説です。 どんな出会いが人を助けてくれるか。あるいは人を損なわせてしまうのか。貴瑚の友人美晴の貴瑚に対する気持ちは、ちょっと目頭熱くなるところがありました。 52ヘルツのクジラを想う。「わたしでいいのなら、全身で受け止めるからどうが歌声を止めないで。52ヘルツの声を、聴かせて。」 2021年の本屋小説大賞、映画化もされた作品ということだけあって、とても気持ちのいい作品です。
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クジラに出会うなんて一生に3回もあるか?いいなー キナコと子ども、あのときの自分と同じだとあとから気づくなんて、でも、そうだよね。人間、いつもみんなのこと冷静に見ていられる訳じゃないもんね。 「キナコはいま、第一の人生を終えたんだ。でもね、彼らはきみの前の人生の登場人物になったから、だからきみに新しい傷をつけることはない」 「人から言われた言葉なんだけどね、ひとには魂の番(つがい)がいるんだって。愛を注ぎ注がれるような、たったひとりの」 とにかく後半のたたみかけ、たくさんの事実とみんなの優しさ、キャラがたってて楽しいのに、内容は心がえぐられるような痛い話、みんなの痛い記憶、読み進めながら、ふたりの幸せを心から願わずにはいられなかった
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虐待シーンは、しんどくなるほどリアル。 伏線回収の連続で、最初は❓の連続なだけに、先が気になってドンドン読み進んでしまう。最後がちょっと救われる形でほっとしたけど、読むのにパワーが要る
読了。大切な人を2人失い、祖母が住んでいた 家で暮らす主人公、家族から虐待を受けて ムシ、と呼ばれる少年。この話を読んでふと 昔の事を思い出した、確かに今は生活とか 大変だし楽じゃない、けどそれでも前を向いて 生きていこう。ちゃんと自分の足で歩いて いけるように
鯨が出す音のヘルツは決まっていて、大体が30くらいであるらしい。例外にも高音しか出せない鯨が存在し、孤高の鯨と呼ばれている。その鯨の思いは誰かに届くのか。本当に孤独かはわからない。家族から虐げられ育ったきなこを巡って登場する人物それぞれが、きなこのヘルツを受け取り手を差し伸べる。又転居先で偶然出会ったムシ(いとし)なる男の子との関わりの中で今度は自分がヘルツを受け取る側になるというきなこの心模様に引き込まれる。
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過去に虐待にあった主人公が虐待にあっている子を救おうと奮闘する。 親より受けた虐待の傷を心身ともに抱き続けながらも、虐待にあっている子を救うこと、その子と一緒に生きていくことが主人公自身の心の安寧に繋がっていく。 お互いの声にならない声に耳を傾け続ける姿勢に心打たれる。赤の他人が被虐待児を引き取り育てることは、制度的にも経済的にも心身の負担も含め、あまりにも困難なことは容易に想像でき、その部分がきちんと現実的に描かれ、それらを考慮しても、一緒に生きることを諦めない、揺るがない2人の結びつきに涙し、2人の未来が明るく穏やかなものであってほしいと思う。
2021年本屋大賞がついに文庫化( ´∀` )b (カバー裏には、スペシャルショートストーリーが描かれています) ページを捲る手が止まらず、一気読みでした!! タイトル含めて感慨深い作品、読了後は優しい気持ちになれる一冊です♪