薄雪
薄雪

2025年1月18日

1人、海辺の街に住み着いた貴瑚。 田舎での煩わしい人間関係が嫌になっていた。そんな中、1人の少年に出会う。ムシと呼ばれ、実母からネグレクトを受けていて、喋れなくなっている少年。そんな彼に貴瑚は通じるものを感じる。 貴瑚は52ヘルツのクジラの話を伝え、彼を52と呼ぶことにする。52ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く孤独なクジラのこと…。 貴瑚には悲しい過去があった。 実家で受けていた虐待のこと、そんな環境から助けてくれた恩人がいたこと。そんな恩人の愛に気付かず失ってしまったこと。 この小説のあらすじは書くことは簡単なんですが、魅力はそこにはないと思います。 全ては出会いなんだと思わせる小説です。 どんな出会いが人を助けてくれるか。あるいは人を損なわせてしまうのか。貴瑚の友人美晴の貴瑚に対する気持ちは、ちょっと目頭熱くなるところがありました。 52ヘルツのクジラを想う。「わたしでいいのなら、全身で受け止めるからどうが歌声を止めないで。52ヘルツの声を、聴かせて。」 2021年の本屋小説大賞、映画化もされた作品ということだけあって、とても気持ちのいい作品です。

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52ヘルツのクジラたち

52ヘルツのクジラたち

町田そのこ

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