すだれ
レビュー
警察ミステリ界にニューヒロイン登場。 ヒロインの立ち位置がこのミステリの肝である。 この年齢の女性警官を主役に据えた小説は、これまでなかったのではないか。 続編はあるのか?
交番相談員 百目鬼巴
長岡弘樹
本棚登録:21人
加賀藩前田利常の娘、富姫の生涯を、侍女・小蝶の視点で描いた歴史小説。
おふうさま
諸田 玲子
本棚登録:0人
プロ野球の裏方、スカウトを主人公にした変わり種の野球小説。 創作だと承知しつつも、スカウト絡みのエピソードに漂うリアリティにはひりひりする。長年野球を取材してきた作者ならではの強みか。 文章も読みやすく、登場人物の配置も申し分ない。何より、登場人物が前を向いて一歩踏み出そうとするところにグッときた。次作にも期待
眩光の彼方
岡田真理
本棚登録:0人
自分の気持ちも相手の気持ちも安易に言葉に落とし込まない主人公が良い。
リボンちゃん
寺地はるな
本棚登録:28人
中日監督・落合博満を描いた傑作ノンフィクション。 落合がこんなにチームを勝たせた監督だとは、失礼ながら知らなかった。 とりわけ面白かったのが森野の章。 Wikipediaには載らないようなエピソード満載で、これこそノンフィクションの醍醐味である。 情や熱を求めがちな日本プロ野球界では、落合のような監督は何かと誤解されるだろうし、受けも悪いだろうなと思う。 落合夫人の明るいお人柄、家族には恵まれていたであろうことにほっとする。
嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか
鈴木 忠平
本棚登録:0人
長い序章のような1巻。滑り出しはまずまず。 紫苑とネズミの再会からどのように物語が動き出すのか、楽しみに続刊を待ちたい。
NO.6[ナンバーシックス]再会#1
あさのあつこ/toi8
本棚登録:19人
考察が微妙。 こういう本は、現地に行ってひたすら調査するか、歴史的学識から考察するかのどちらかがないと薄い内容になってしまう。 著者グループに、厳密な意味でのイギリス史の専門家はいないのではないか。 さりとて、現地の料理研究家に取材したあともなく、丹念な実地調査をした形跡もない。 そういう意味で、踏み込みが足りない内容だった。
舌の上の階級闘争 「イギリス」を料理する
コモナーズ.キッチン
本棚登録:3人
「おやつはいつだって」が秀逸。 こういう短編は男性作家は書けないだろうと思う。
温泉小説
朝比奈あすか
本棚登録:0人
金沢の花街を舞台にした小説。 主人公の二人の芸妓の友情、その二人を取り巻く人々の温かい人柄が良い。 金沢の方言も味わい深く、金沢出身の著者からではの描写も光る。唯川恵の新たな代表作になる予感がする。 戦前の金沢もの、シリーズ化を熱烈希望。
おとこ川をんな川
唯川 恵
本棚登録:0人
公事宿狸穴屋シリーズ第2弾。 狸穴屋の皆に再会できたのが嬉しい。 表題作とその続きである「証しの騙し絵」がやはり良かったが、一人の女性の生きざまが印象深い「夏椿」もなかなか。
初瀬屋の客 狸穴屋お始末日記
西條 奈加
本棚登録:0人
二十年に亘る男女四人の友情を描いた小説。 グループで仲が良いわけでもなく、お互いがそれぞれ緩やかにつながり、べたべたせず、かといって淡白なわけでもない。 その関係性がなんだか心地よかった。 物語自体はさほど起伏がないが、登場人物の雑談がうまい作家さんなので、こんなふうに「しゃべる」人が多い物語だと読んでいて楽しい。 最後の雨のシーンは文句なく美しい。
雫
寺地はるな
本棚登録:72人
『ランチ酒』のスピンオフ。 思った以上に食べ物パートの比重が大きい。 祥子さんの人生が動いていくのを、第三者の視点で見るのが新鮮。
あさ酒
原田ひ香
本棚登録:77人
桐子さんの強みは、他人と繋がることを恐れず、孤独じゃないことである。 年老いたときに、お金がないことよりも、話し相手になる人がいない方が、よほど悲惨ではないかと思う。
一橋桐子(76)の犯罪日記
原田ひ香
本棚登録:115人
いろいろな人の人生の重なりを、廃校が決まった小学校の秋祭りの日、1日だけに絞って描いた連作小説。傑作。 第1話終了時点で、登場した各家族のプロフィールを作っておくとより楽しめる。 元教師の義母の生きざまを描いた「クロコンドルの集落で」が特に良かった。
ドヴォルザークに染まるころ
町田そのこ
本棚登録:96人
作者の新たな代表作になること間違いなしのサスペンス小説。 震災を始め、人の力ではどうしようもないものに、抗いもがき続けた真柴と陣内。彼らの闘いから目が離せず、気づけば一気読みしてしまっていた。 最後が何とも言えないが、幸せな読書経験だった。 それにしても、直人がいて良かった。彼の存在にほっとする。
逃亡者は北へ向かう
柚月裕子
本棚登録:96人
さらっと読める連作短編集。
私、産まなくていいですか
甘糟 りり子
本棚登録:0人
淡々と過ぎていく、団地暮らしの幼馴染み二人の物語。 さして裕福でない二人なのに、文化的には結構充実している。 不意に出てくる音楽や映画の話がわりと渋くて、文化の中心地で生きてきた東京の50代ならではという感じがした。 レスリー・チャンの東京公演に言及した下りがあって驚いた。そこまで一般には話題にならなかったと思うのだが。作者も行ったのだろうか。
団地のふたり
藤野千夜
本棚登録:85人
タイトルは誇張しすぎにしても、中国の少数民族政策は、これまであまり知る機会がなかったので、面白く読んだ。
民族がわかれば中国がわかる
安田峰俊
本棚登録:0人
上田早夕里らしい、ファンタジーとSFの間を縫うような短編集。 白眉はなんといっても「南洋の河太郎」だろう。 上田さんの外地ものは、まだまだ進化していくのだろうなと感じた。 次は多島斗志之以来の海峡植民地か。 戦前の英領香港も捨てがたい。
成層圏の墓標
上田早夕里
本棚登録:0人
ミステリ小説だが、単なる謎解きに終わらないのが町田そのこらしい。 主人公の同級生である吉永や、アパート経営をしている長野など、物語の本筋にはそこまで関与しない脇役の言葉が、物語を血肉の通ったものにしている。 最後の後日談の、主人公や井口が素敵。
月とアマリリス
町田そのこ
本棚登録:136人