すだれ
2025年6月13日
中学受験を取り巻く悲喜こもごもを描いた一冊。 しかし、なんだろう。素材は悪くないのに、一つ一つのエピソードが、びっくりするくらい読みごたえがない。表面をさっと撫でたくらいの印象である。 受験当事者である子供の目線を重視する作者の姿勢は悪くないが、この本の読者層は親世代であることを考えると、もっと親の葛藤やジレンマをえぐり出してほしかった。おそらく、インタビューで相手が語る以上のことを聞き出す技術が欠けているのではないか。一流の聴き手は、相手の無意識をあぶり出し、相手自身の言葉で語らせるものである。

中学受験のリアル
宮本 さおり
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