国宝 下 花道篇

国宝 下 花道篇

吉田修一
朝日新聞出版 (2021年9月7日発売)
ISBN:9784022650092
本棚登録:185

作品紹介・あらすじ

鳴りやまぬ拍手と眩しいほどの光、人生の境地がここにあるーー。芝居だけに生きてきた男たち。その命を賭してなお、見果てぬ夢を追い求めていく。芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をW受賞、『悪人』『怒り』につづくエンターテイメント超大作!1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」--侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この...

感想・レビュー (8件)

話題に乗り遅れて、読了。 正直、読み始めは文体が気になっていましたが読み進みる程に世界観とマッチしていく感じにどハマり。喜久雄の生き様にしっかり泣かせてもらいました。 映像を観るか悩みますね

映画とはちがう展開だったが、こちらの終わり方も良かった。芸を極めるとは、取り憑かれるとおなじことだと感じた。主人公だけでなく、取り巻く周囲の人々も魅力的で、懸命に生きる姿に清々しさも感じた。映画のシーンと相まって、きらびやかな歌舞伎の舞台や衣装、匂い立つような色香と白粉の香りが立ち上ってくるように臨場感を感じ、一気に読破した。

Amazon audibleで下巻も聴き終えました! 歌舞伎に魅入られ、唯一無二の存在となっていく立花喜久雄が中心ではありますが、俊介・徳二・春江・秋子など登場人物全体にもスポットが当たり、壮大な物語でした。 章ごとで何度か鳥肌がたつほどの感動を覚え、最後を聴き終えたあとは、しばらく何も出来ない位の圧巻の余韻でした。 「凄い」の一言につきる1冊です。

三代目花井半二郎(喜久雄)の歌舞伎舞台にかける思い。もはや最期は、役と自身との区別がつかないくらい取り憑かれてしまった。丹波家の跡取りの俊介も、両足義足になっても舞台を諦めず、最期まで舞台に取り憑かれていた。 二人を巡る人達との心の触れ合いも読み応えあり。

春江のさいごのことば、泣いた

久しぶりに本当に夢中になってあっという間に読み切った。映画とは全然違う登場人物と展開。徳次の存在を初めて知った本の世界。国宝になることと周囲の人の幸せを奪うことが関連があるかのような展開。悪魔に魂を売った喜久夫。孤立していくきくちゃん。

映画とは違う感動があった。

後半は映画とだいぶ違う。この重厚な物語を映像化するための3時間にまとめた脚本家に脱帽する