ちょこぽん
レビュー
読みながら やはり自分ならどうするか考える 結婚を考える程愛している相手 つい出来心と言われても 許せるのか 受け入れるのか 拒絶してしまうのか 当然悩み苦しみます 模索する中での新夏の行動に なぜそれ?って ちょっと理解できない部分もありました 好きだから許せる 好きだから許せない その答えはきっと読者それぞれ 二部構成になっていて 後半はタイトル 『恋とか愛とかやさしさ より』と 啓久の視点で物語が進みます 自分が盗撮した女性から突然声をかけられ 困惑する啓久 そこからなぜだか交流が始まり 二人それぞれの葛藤や本音が語られる 前半は重苦しく後半はちょっと違うモード なんだか不思議な読後感でした

恋とか愛とかやさしさなら
一穂 ミチ
親、兄弟、姉妹、夫婦、恋人 どんなに親しくて理解していたつもりでも 本当の奥底の思いを知る事は難しい 人の心は複雑なのだ だからこそ目を背けず争いを恐れず 言葉を尽くして分かりあう努力をしなければならない 『カフネ』とはポルトガル語で 子供、恋人、家族など、愛する人の髪にそっと指をとおすしぐさ 頭をなでて眠りにつかせる、穏やかな仕草を表す 日本語に訳すのが難しい言葉との事 文末をそのまま引用するなら —-髪に指をとおし、言葉にならないものを伝えるように、やさしく、胸を満たす思いをこめて、そっと梳く—— そんな仕草 思いテーマが盛り込まれていましたが 前半はテンポ良く読ませてくれ 後半は溢れる涙が止まらない 薫子とせつなの不思議な関係 彼女達を取り巻く人達 優しく切ない 心に染み渡る物語でした 読む手が止まらずあっという間に読了

カフネ
阿部 暁子
『罪の声』も面白かったので 期待して読みましたが やはりあっという間に読了 この小説は 大泉洋の主演を見据えて描かれた 異色の文芸作品との事 なので読みながらどうしても 大泉洋の姿が頭の中でぐるぐる(笑) 出版業界物の話です 内部事情をあれこれを知ることができ 大変なんだなーと 図書館や古本屋を多く利用する私としては 大変申し訳無く思った次第です💧 映画の予告 『全員クセモノの騙し合い』 というキャプションに 読んでから観るか? 観てから読むか? 迷いましたが コロナの影響で 公開は来年に延期になったようなので 先に読みました! 映画はやはりエンターテイメントですから 原作に更に大きく 脚色されているかもしれませんが こういう作品は映画でこそ楽しいのかもです 『罪の声』と共にぜひご覧あれ

騙し絵の牙(1)
塩田 武士/大泉 洋
Butterとは全く違い 爽快で元気の出る作品です ———地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み食欲もない。そこへ雲の上の存在の黒川敦子部長、通称"アッコさん"から声がかかり、一週間 弁当とランチを取り替えっこする事に!気乗りがしない三智子だったが、アッコさんが指示する不思議なランチコースを巡るうち、少しずつ変わっていく自分に気づく———— 読み進めるうちに 私自身も元気を貰いました 一歩踏み出すと世界は変わる その視点が素晴らしい 元気の出るビタミン小説です! あっという間に読めますよ♫ アッコちゃんシリーズは他にもあるようです ぜひ読んでみたい楽しい小説 柚木さんはその作風から 「幸せを他人と比べない」や 「友情」を描く白柚木と、読者も登場人物も容赦なく切りこむ黒柚木がいると言われています。 そんな振り幅が面白いと。 なるほどなるほどという感じです

ランチのアッコちゃん
柚木麻子
夢と希望を胸に 大きな会社に就職した 勝ち組だったはずの僕 でも現実は 思い描いていたものとは 全く違う日常に追われる自分 「こんなハズじゃなかった人生」そこから 逃げることも戦うこともできず 悶々と現実に耐え続ける僕は サラリーマンを演じ続ける そして更に 大学時代出逢った 訳ありな恋人との別れの泥沼に 追い詰められ 何年もの間 囚われつづけている 人を好きになるのって 理屈じゃない そして傷ついた深さの分 立ち直るのも難しい そんな僕の救いは 同期の尚人 普段頻繁に連絡をとってなくても ふとした時にはきちんと繋がる 数年会っていなくても 再会した瞬間 昨日の続きの様に話ができる それが親友 男同士ってなんかいい そんな僕の 大学から社会人の今を描いた 5年間の話です そうだな そうだったなと 若い頃の想いとか悩みとか 古い傷とかを懐かしく想い出す そんな小説でした 『僕』の同年代の人には 凄く響くと思います 多分 王様のブランチで紹介された本 私の読書は ブランチに影響されてる! ミーハーな私😅 多分本屋さんでは 手に取らない部類の本 そういう意味では貴重でしょうか 最後2人が口ずさむ ピロウズの 『ハイブリッドレインボウ』 YouTubeで聴いてみました うんうん この小説にぴったりな曲 BUMP OF CHICKENも カバーしてるみたいです カツセさんは 人気ウェブライターで これがデビュー小説とのことです カツセマサヒコ30年史 ↓ https://omsolar.jp/special/30th/katsuse/ 読むと面白い

明け方の若者たち
カツセ マサヒコ
遺体で発見された善良な弁護士。 一人の男が殺害を自供し事件は解決のはずだった。 「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」 2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の""告白""、その絶望――そして希望。 「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」 私たちは未知なる迷宮に引き込まれる― 東野圭吾版『罪と罰』 ————————-あらすじより やはり東野圭吾作品 面白くて 引き込まれてしまいました 展開が気になって かなり分厚い本でしたが 2日で読み切りました きっとこれも映画かドラマになるのではと 東野さんの作品は ミステリーながら 根底に大きく広がる 人間模様が魅力ですよね 今回も加害者、被害者、刑事 色んな人の立場に感情移入しながら 飽きさせる事なく読ませてくれました

白鳥とコウモリ
東野 圭吾
———- 勤めていた書店が閉店し無職となってしまった一葉(かずは)。実家に戻り祖母の部屋の遺品を片付ける中、療養中に頼まれたことを思い出す。約束を果たすつもりで、祖母が通っていた『連句の会』へと顔を出す事に。そこで出逢った人達と触れ合う中で祖母との想い出、連句の魅力に導かれ新たな一歩を歩み始める————— 俳句や短歌とは違い 何人もの人で 五七五 七七と 交互に句を作っていく連句 私は初めて知ったかも 色々な決まり事がありますが 言葉を選び想いを込め句を詠む そして詠み手の想いを汲みつつ 新たな句を繋げる 言葉を紡ぐことの素晴らしさを 深く感じる一冊です 会に参加する度に 優しくて柔らかく おおらかだった祖母を想い出し 自分の知らなかった祖母に触れ 心温かくなってゆく一葉 こちらもほっこりと 温かな気持ちになっていきます そしておばあちゃんが いつも選んでいた和菓子が とっても美味しそう♡ 調べたら実際にあるお店の様 いつか買いに行ってみたい シリーズもので後2冊出ている様です 他も読んでみたいと思います いつもプレバトを観ながら 俳句って奥深く 言葉のセレクトとか諸々 凄いなーと感心しきりな私 詠んでみたいと思う事もありますが こういうのはセンスが必要で 無理そうだなといつも思います 私の母や父も句会に参加していた様で 形見に貰った『季寄せ』 使う日が来るかしら...

言葉の園のお菓子番 見えない花
ほしお さなえ
165回直木賞の候補作品 初作家さん バラエティーに飛んだ家族をテーマに描かれていて 短編ながらそれぞれが全く趣の違ったものになっている ゾワッとするものから コメディタッチのもの グッと胸に刺さるもの 何処にもハッピーエンドは無いけれど それぞれの世界観は凄く読み応えがあり 誰しもが持っている 心の弱さとか醜さとか どこかで諦めたり もがいてみたり そして受け入れ信じてみる 1つの話の中の登場人物が 別の話でさりげなく繋がってるところも 面白い わかりづらいものもありますが わかると面白さ倍増 最後は えっ!......

スモールワールズ
一穂 ミチ