掬えば手には

掬えば手には

瀬尾まいこ
講談社 (2022年7月6日発売)
ISBN:9784065282489
本棚登録:256

作品紹介・あらすじ

ちょっぴりつらい今日の向こうは、光と音があふれてる。 『幸福な食卓』本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』に連なる、究極に優しい物語 私は、ぼくは、どうして生まれてきたんだろう? 大学生の梨木匠は平凡なことがずっと悩みだったが、中学3年のときに、エスパーのように人の心を読めるという特殊な能力に気づいた。ところが、バイト先で出会った常盤さんは、匠に心を開いてくれない。常盤さんは辛い秘密を抱...

感想・レビュー (11件)

3年ぶりにもう一度手に取った。 あの子がげんきかな、って確かめるように。 いつもあなたのこと心配してる。楽しめばいいのにって、もっと自由にすればいいのにって。あの子はそう思ってるよ。あの子は、苦しんでなんかない。恨んだり怒ったりしてない。 閉じこもっていても救われるわけでも解決できるわけでもない。 、、、と勝手にいいように思いたくて。 大切な存在だよ、と伝えたい。 瀬尾まいこさんの本はほっこりする😊誰にもないものをもっていたい、と思う梨木くんの気持ちは多くの人が共感するのかな。そして、固い雰囲気を纏う常磐さんはもっと共感した。優しくも次に背中を押してくれる一冊。 勝手に人の心を読んで、相手をわかった気になるのはたやすい。勇気を振り絞る必要もないし、相手も自分も傷つかず恥もかかずに済む。だけど、目の前の相手に踏み込むのは難しい。誤解もわだかまりも照れ臭さも生まずに、都合よく人の心に触れられるなんてことはないみたいだ。

途中から、一気に読んだ。梨木匠君が、いい人だ。この先、河野さん(三島さん)と、つきあうのではないだろうか。

淡々と 心暖まる

人の気持ちを汲むのが得意な梨木くん。梨木くん本人は芸術一家の中で自分は何の取り柄もないと自分を卑下している。梨木くんの周りには、梨木くんのおかげで気持ちが救われた人々が集まっている。そんな梨木くんのバイト先に、気持ちを閉ざした常盤さんが入ってくる。そのうちに常盤さんの身体から、小さな女の子の声が梨木くんには聞こえるようになる。 能力があるものは、挫折すら輝きがある。 何もわからず判断していた無知だった自分を悔やみたくもなるだろう。

「普通の人」なんて誰もいない。みんな、誰かにとっては特別で、誰かにとって救いの人なのだ。 印象に残ったフレーズ 「でも、辞める時にあんな大きなケーキを焼いてくれる人も、梨木さんみたいに気にかけてくれる人も、なかなかいないですよね」 主人公梨木がバイトをする店にやってきた後輩バイトの常盤。誰にも心を開かず、常に無表情だった。 そんな常盤が、次なる第一歩のためにバイトを辞める時に言った言葉。 店長の大竹は、人に優しく接したいのに言葉や態度はすこぶる悪い。梨木は、自分には何も取り柄がなく、平凡だと思っている。でも、常盤にとっては、大切なバイト仲間で、印象に残る人物なのだ。 自分では「特別」だと思えなくても、誰かにとっては間違いなく「特別」な存在なのだ。それに気づけただけで、こころがホッと明るくなる気がした。

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人の心が読める? そんな少年がラーメン屋での話

主人公の男の子が自分には人の心を読める力があるからその力を有効に使おうとしてもがいている感じ。口は悪いけど、世話好きのオムライス屋さんの店長がすき。過去に色々あって、それを店長は飲み屋で梨木くんに話すのに梨木くんは話してない。きっと何かあるね~みたいな事を鋭く言うのも大人な感じで好き。

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 読みやすい

心が読めると思い込んだ男の子がバイト先の中絶した女の子の心を救った話

瀬尾さんらしい言い回しが沢山。そんな人いるかなとも思うけど、人はみんな何かしら悲しみや引け目を感じながら、生きてるなとしみじみ思った。