国宝 上 青春篇

国宝 上 青春篇

吉田修一
朝日新聞出版 (2021年9月7日発売)
ISBN:9784022650085
本棚登録:220

作品紹介・あらすじ

俺たちは踊れる。だからもっと美しい世界に立たせてくれ! 極道と梨園。生い立ちも才能も違う若き二人の役者が、芸の道に青春を捧げていく。芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をW受賞、作家生活20周年の節目を飾る芸道小説の金字塔。1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」--侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざ...

感想・レビュー (6件)

ロングランを続けている映画の原作版。 豊島さんが宮崎移住の餞別にプレゼントしてくれた。 ストーリーに引き込まれ一気に読んだ。 歌舞伎という知らない世界を垣間見る。芸一筋にすべてをささげる主人公の潔さと付きまとう孤独。そこに渦巻く人々の人情と嫉妬や打算。すべてに圧倒された。

映画で話題となっている作品の上巻を、Amazon audibleにて聴きました。 立花喜久雄が、歌舞伎の世界に足を踏み入れ、挫折を味わいながらも成長していくところまでが収められています。 歌舞伎の演目だけでなく、『家系の血』の重みや、本人だけでなく妻を含めた家族の大切さと大変さが描かれており、壮大な物語です。 下巻もAudibleで聴くのが楽しみです!

喜久雄と俊介。父半四郎からの襲名を受けられず、喜久雄との役者としての格差を埋めることもできないまま出奔した俊介。喜久雄の恋人、春江を伴い放浪の旅に出る。襲名披露で倒れ、帰らぬ人となった半四郎。「親無しは首のないのと同じ」の通り、復帰した俊介と入れ替わるように歌舞伎界で辛酸を舐めた喜久雄。プライベートを暴かれスキャンダルと騒がれる中、芝居の世界に更に没頭していく。 糖尿病で右足切断の後、舞台に立つも絶命した俊介。人生全てを捧げた喜久雄は狂おしいばかりの歌舞伎役者。 凄まじい人生を生き抜く喜久雄にとって、ただ舞台での恍惚感だけが生きがいとなっている。 舞台の上から歴代の役者から見られているような神々しい瞬間が堪らなく愛おしく感じられる…。 人間国宝となるような人は、皆、同じような神々しさを感じながら生きているのかもしれない。 .

映画では描かれていない人が沢山いる。でも、明るいところがあまりない話で、ドロドロしていて読んでいると辛くなる。

映画よりも凄みのある内容だった。 一つの道を極めるまでの道のりは本当に遠い。誰にでもできることではないと思った。

映画の背景がよくわかる。 継母や半次郎の妻や春江が如何にささえてきたかも