匿名ユーザー
2025年10月14日
喜久雄と俊介。父半四郎からの襲名を受けられず、喜久雄との役者としての格差を埋めることもできないまま出奔した俊介。喜久雄の恋人、春江を伴い放浪の旅に出る。襲名披露で倒れ、帰らぬ人となった半四郎。「親無しは首のないのと同じ」の通り、復帰した俊介と入れ替わるように歌舞伎界で辛酸を舐めた喜久雄。プライベートを暴かれスキャンダルと騒がれる中、芝居の世界に更に没頭していく。 糖尿病で右足切断の後、舞台に立つも絶命した俊介。人生全てを捧げた喜久雄は狂おしいばかりの歌舞伎役者。 凄まじい人生を生き抜く喜久雄にとって、ただ舞台での恍惚感だけが生きがいとなっている。 舞台の上から歴代の役者から見られているような神々しい瞬間が堪らなく愛おしく感じられる…。 人間国宝となるような人は、皆、同じような神々しさを感じながら生きているのかもしれない。 .
国宝 上 青春篇
吉田修一
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