レビュー (6件)
めちゃめちゃ面白かった。主人公のセラフィマが復讐のために狙撃兵になる流れは、王道といえば王道。しかし、実際に存在した女性狙撃兵をモデルにしたリアリティが面白さを上げている。最後の最後の狙撃が本当に悲しい
2022年本屋大賞が文庫化に! 約600ベージの戦争小説、決してルンルンな気持ちで手に取ったわけではなかったのですが、、、凄かったです(✽ ゚д゚ ✽)!! 読了したとき、改めて“戦争とは”と考えさせられました。細部までリアルに描かれている本書はとても勉強になりました★☆彡
本屋大賞受賞作が待望の文庫化。 600ページ近くあるため、最初は少し読むのに躊躇いがありましたが、読み始めたらその世界にどんどん引き込まれていきました。 『人間を悪魔にする性質』を持つ戦争に対して、色々と知って考えなければいけないと感じました。 面白くて奥が深い、まさに話題となったのが分かる一冊でした。
2022年、本屋大賞を取った作品です。 他の本屋大賞作品も何作か読んではいますが、作品の完成度という点でずば抜けていると思います。話の展開が秀逸で600ページあるのですが4日くらいで一気に読んでしまいました。 1942年、イワノフスカヤ村に住むセラフィマは、母と一緒に猟をして暮らしていた。ある日、村に帰ろうとするとドイツ人の一軍に村が占領されようとしているところ目撃する。戦おうとする母は、ドイツ人の狙撃手に撃たれ、セラフィマも陵辱されようとする。そこにロシア軍の一団が現れ、セラフィマは救われる。ロシア軍のリーダーであるイリーナに強い言葉を投げかけられるセラフィマ。憎しみを支えとして、狙撃手としての教育を受けていく。 訓編学校では美しいシャルロッタ、カザフ人のアヤ、母のように優しいヤーナ、そしてウクライナ出身のコサックであるオリガと知り合う。 訓練学校を卒業したセラフィマは、皆と一緒に実戦であるウラヌス作戦を経験し、そして決戦都市スターリンググラードに乗り込んでいく。どんな悲劇がこの先待っているかも知らずに。 この作品は、戦争小説なのですが、作品を際立たせてるいるのが、それを女性という視点から書いているところです。男性なら、戦争に行くことも帰ってきて英雄と讃えられることも当たり前の時代であったけれど、女性はそうではなかった。戦争を潜り抜けた女性であっても、除隊後周りの視線を扱いから冷遇を受けてきた。そしていつの時代も戦争という状況の中で、女性は弱い立場に置かれて苦しんできた。 同志少女よ、敵を撃て。本当の敵はここにいる。 それはおそらく、特定の民族や国であろうはずはなく。また、男性や女性といった性別でもなく、戦争という異常な状況下で発揮される人間の本質なのだろうという。 もっと吉村昭の書いたバリバリの戦史小説のような作品かと思っていたのですがそうではなかったです。キャラクターも生き生きとしていて、とても読みやすかく、作者逢坂冬馬の優しい真面目で熱い人柄が伝わってくるような作品でした。
ネタバレを読む
逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」読了。 タイトルと表紙の絵のカッコ良さから、ドキドキワクワクするお話を想像して読んでいたのだが、 戦争の狂気をガツンと喰らわせられた。 ただ、こう書くと面白くなかったのかと思われてしまうかもしれないが、面白く無いわけでは無い、面白い。 面白いのだが、いつもこういう小説を読んだ時に、面白いと言っていいのだろうかとも煩悶する。でもなんと表現すればいいのだろうか。ああ、語彙力が欲しい。 田舎で母と幸せに暮らしていた心優しき少女セラフィマ。突如その幸せが侵略される。復讐のために生きることを決める少女。戦場で狙撃手として、どう戦い、どう生きて、どう変わっていくか。戦争という狂気が穏やかな人の心をどう変えて行くか。復讐とは。そして、復讐を果たした後に何が残るのか...。 主人公のセラフィマはもちろんのこと、イリーナ、シャルロッタ、アヤ、ヤーナ、オリガ、ターニャ、登場人物たちがとても魅力的なだけに、読後に残る余韻がすごい。 そして最後に参考文献を読んで驚き。劇中に出てくる史上最高と呼ばれる女性スナイパー、リュドミラ・パブリチェンコが実在の人物だったのか。あと、「戦争は女の顔をしていない」も実在の本だという。この本は漫画でもあるようなので、読んでみるかな。



