なぜ働いていると本が読めなくなるのか

なぜ働いていると本が読めなくなるのか

三宅香帆
集英社 (2024年4月17日発売)
ISBN:9784087213126
本棚登録:140

作品紹介・あらすじ

【人類の永遠の悩みに挑む!】 「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。 「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。 自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷...

感想・レビュー (10件)

タイトルに興味があったので購入しました☆彡 本書は、まえがき、序章、第1〜9章、最終章、あとがきがで構成されていて、日本の近代以降(明治時代〜)の労働史と読書史をもとに、労働と読書の関係性を紐解いていきます。 現代に近付いていくにつれ、共感できるところがちらほらありました! あとがきが好きです(*´∇`)ノ #『花束みたいな恋をした』

ノイズを許容できる余裕がある生き方 全身を求めるのではなく半身で生きる仕事することを求める社会をつくる 仕事は楽しいが、全身全霊を込めて仕事することを美化しな 自分の人生というものを余裕を持って考えられる心の状態を保てる生き方 働きながら本が読める社会

時間術の本かと思いきや、全然違った!社会構造の話と半身ではたらく話。

政治の時代から経済の時代へ。 経済はは神の見えざる手で動くので、その波に乗ろうとする。そのため、啓発本は脳内革命以降、行動を示してくれるようになった。大正時代から啓発本は存在したが、それは歴史を知り知識を深めることを奨励するものだった。 経済の時代からはノイズ例えば 小説などは読まれなくなる。 こじまりのように、自分の家を 聖域にして、外部のことはノイズ としてシャットダウンする。

前半読むのに時間がかかったが、後半は一気に。読書の変遷から最終的には、半身社会を生きるということに。

とても難しかったです。最後で納得しました。

職場でも昔より効率的になってるはずなのに仕事量が減らないという矛盾が垣間見える時がある。 現代は法律や制度が整備され、戦前に比べて労働環境は改善されているはずなのに、文化的趣味を享受する時間が取れない、という嘆きは寧ろ強まっているように感じる。 なぜそのようなことが起こっているのかを労働と読書の歴史を紐解いてくれる。

読書はノイズ込みの知で、情報はノイズ抜きの知であるという筆者の主張はなるほど腹に落ちた。 現代はまさに情報社会であり、あらゆるモノにノイズを排除しようという意識が働いているのでは?働くことが美徳とされていた時代はとうの昔に過ぎたはずだったがそんなものは幻想だったのだろう。 全身ではなく半身で生きたいと自分も思う。

ざざっと流し読み。 映画「花束みたいな恋をした」はとりあえず観よう。最後の働きながら本を読むコツは納得。

なぜ働いていると本が読めなくなるのか? 読書と労働の歴史からはじまり、読書にも種類があること、読書ができていないのはどういうことかを丁寧に教えてくれる本です。読んでいて自分の毎日の生活にハッとさせられました。