作品紹介・あらすじ
田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪により、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がるマスコミ報道の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士は再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。
感想・レビュー (5件)
こんな展開もありなのか!と驚くも、余白のない筆致にちょっと読みづらさを感じたのが残念。著者の「店長がバカすぎて」や「ひゃくはち」はとても楽しく読めたのだけど、本著や「笑うマトリョーシカ」は著者語りが多いように思った。ストーリーの運び方も結末への辻褄合わせのようなところもあって。でもこの結末で終わらせるとは!雪乃への同情とも憐憫とも何とも言えない感情で読み終えた。
イノセント…純真無垢と無実が同じ意味とは。 ただ死に場所を求める切なさに胸が詰まるけど、実際、産まれてからずっと不幸な人はやっぱりいるんだろうな…
読み終わった後、心が重くなる。 刑務官の女性目線になった。なんで?なんで?それでいいの?って。救われない。
あまりにも純粋過ぎるが故の物語。 もどかしさとやるせなさがない交ぜとなり、切なさ残る読了感。 所々府に落ちない点はあったが、事実を語れず悩む人々の心理状態や死刑執行についての描写はリアルで、後半までかなり引き込まれた。正直あまり共感できぬ結末。
頑張って生きて欲しいとか、生きるためになにかするとか、生きることは常に正しくて、死ぬことは絶対に違うっていう物事の尺度が間違ってるかもしれない。最後の死ぬために頑張って生きている描写は、全く共感は出来ないけど、理解したいと思った。

