
まきまきちゃん
レビュー
しばし放心。いまだ混乱。凄い虚構の城を見た。 頁を開いたが最後、瞬く間に引きずりこまれ、虚構と真実の境目に迷い込み翻弄され… そして最終的には著者の思惑にまんまと嵌められた気がする。 暫くの間引きずりそう…。苦笑 『文身』は刺青を意味するというのを初めて知った。
文身
岩井圭也
本格的な正統派ミステリ。 帯の内容(少々煽り気味?)で期待が膨らみ過ぎたのか想像より驚きは薄め。様々な伏線や複数の事件が少しずつ繋がり真実のパズルが出来上がってくる過程が楽しい。 目の前の真実がどんなものであれ目をそらさず向き合って前に進んで生きていこう。
失われた貌
櫻田 智也
読了して確信に至ったこと。 大好きな本がまた増えたこと。 著者のファンになりそうなこと。 内に秘めた熱が静かに放出されていくような印象。読書の秋に最適な1冊。 個人的に著者の文体リズムが合うらしく、文章がスルスル身体に浸透していく感じが心地よい。
夜更けより静かな場所
岩井 圭也
佳境に入るにつれ頁を捲る加速度が増し目が離せなくなった。徐々に浮き彫りとなる真相を目前にして絶句。 非常に深く重いテーマが描かれている。信じてきたものが根底から覆される苦しみを思うと胸が潰されそうになった。純粋無垢であるが故に切ない。 個人的には好きな作品。
夜の道標
芦沢 央
「スワイプ厳禁」で謎を残したあの正体に迫るため、順番としては「スワイプ厳禁」から読むことをお勧め。 なるほど、こうきたか。よい意味で期待を裏切られた感。 怪物?はたまた妄想?ネタバレできないので是非自身で読んでお確かめ下さい。
閲覧厳禁 猟奇殺人犯の精神鑑定報告書
知念実希人
朝時間が経つのを忘れて読み耽り、気付いたら就業時間!スリリングで疾走感あり面白かった。 一夜の物語をここまで惹き付け纏める著者の手腕に脱帽。 現状打破への切実なる思いや葛藤が胸に迫り、自分が各々の立場なら迷わず同様の選択をするかもしれないと思った。
この夜が明ければ
岩井圭也
著者の長編に負けず劣らず短編も大好物の私。 個人的には「勇者たちのオフ」「ファーブル昆虫記を読んで」が好みだが、表題作も爽快。文中炸裂の翔節や非凡な伏線回収も健在でニヤニヤが止まらず。 私の中で最早「人を笑顔にする面白作家No.1=藤崎翔」である。
オリエンド鈍行殺人事件
藤崎 翔
早口言葉は物忘れ改善や認知症予防にもいいらしいが、ただの早口言葉じゃ面白くないので風変わりなものを読みたくなった。 非常にシュールなイラストと奇妙な早口言葉の組み合わせに笑いがこみ上げる。「腹痛中普通服作る?」(爆笑)
かむもかまぬも神だのみ めちゃヘンな早口ことば
大谷 健太
読み応え抜群!圧巻の情景描写もさることながら、特に後半は感情を揺さぶられまくりで、昂り抑えきれず涙。これ程読み終わるのが惜しいと思った作品は久しぶりだった。 美術業界に渦巻く闇等もかなり深掘りされており興味深く読んだ。映画化、早くも楽しみだ。
存在のすべてを
塩田武士
「世界に一つだけの花」の曲が頭に流れてきた。 雑草の生存戦略の凄さを知り、そこから学んだ雑草イズムを今後の生きる知恵としてイン&アウトプットすべきと思った。知らぬうちに雑草芸人と化した小島よしおの変貌、恐るべし!常に前進する姿勢に感服。
雑草はすごいっ!
稲垣 栄洋/小島 よしお
想定外のハートフルな読後感。 ちょっぴり泣ける親子愛がテーマのファンタジーで、ホラーな部分は少なめ。ラストは若干ゾワゾワ。 独特の文体で表現された心の叫びに時折胸が締め付けられたが、心温まるストーリーだった。子供に一番必要なのは何よりも親の愛情だ。
くますけと一緒に
新井素子
衝撃と感動…切なさの波押し寄せる中読了。頁を捲ったとたん読み耽ってしまった。 記憶障害や認知症患者を支える家族の負担等度々考えさせられる場面もあったが、終盤の後輩刑事の言葉に救われスッと心が軽くなった。 後半の盛り上がりと美しいラストの描写がお見事。
ガラスの殺意
秋吉理香子
幕末が舞台の怪異譚。 罪人斬りの山田朝右衛門と不老不死の半獣半人・服部半蔵のコンビが最高。全体的に血みどろ描写も多い中、おかしみある会話他明るい雰囲気のファンタジーで面白かった。続編あれば是非読みたい。 馬鹿頭の怪人の装丁画がとにかく強烈で印象深い。笑
馬鹿化かし
藍銅 ツバメ
見つけてはいけないものとは?自殺の真相とは? 二転三転する展開に著者の思惑通り転がされ最後まで楽しめた。(転がされるのもミステリーの醍醐味。笑) ラストのどんでん返しの後味悪さは否めなかったが、読了後に改めて巻頭言の一文を読むとさらなる衝撃が走る。
うさぎの町の殺人
周木 律
気になるタイトルに惹かれたものの、読み始めたとたん先日読んだ「べっぴんぢごく」とはまた別の地獄が待っていた!(苦笑)。 もっと気軽に読めるかなと思っていたが、真相が予想以上にしんどいラスト。 ブラックな会社は心が破壊される前にトンズラすべし
死んだら永遠に休めます
遠坂八重
岡山県の寒村が舞台となった志麻子節炸裂のホラー。妖艶で淫靡、まさに肉欲の煉獄。 語り口と文体が雰囲気あり唯一無二な感じがかなり好みではあるが、若干終盤がしんどかった。 別嬪でも醜女でもなく凡庸が一番だなぁ~と思ってしまう。因果は延々に続くのか?怖
べっぴんぢごく
岩井 志麻子
「いただきます」に込められた意味の深さに胸打たれ感銘。学びや気付きも多く心温まる一冊。 人生に迷える若者達はこの作品を読めば価値観が変わるかも? 「誰かの未来の幸せのために生きたい」との言葉がずしんと胸に響いた。
いただきます。人生が変わる「守衛室の師匠」の教え
喜多川泰