37件のレビュー

レビュー

1年半ぶりに再読。初読した時のような衝撃的な面白味(笑いで絶えず腹筋プルプルしてた)はやわらいでしまったが、それでも楽しく読書できた。精神科の治療というのは四角四面な枠にとらわれたようなものではなかなか難しいのかもしれない。ハチャメチャ伊良部のように枠をぶっ壊してとらわれ患者を自由にさせてくれる医者の方が案外と治療になったりするのかも。精神科の医療関係者こそ、自由人であってほしいとも思った。

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イン・ザ・プール

イン・ザ・プール

奥田 英朗

佐藤二朗さんのツイート集。 「あしたのようちえんたのしかったよ」と報告する息子が今どこの時空にいるかは謎だ。 というツイートが素敵だった。それにしても、「いまはなんであしたじゃないの?」「なんでぼくは、じぶんのからだと、てとあししか、みえないの?」と言うご子息の感性が凄い。「明る過ぎると自分の顔が見えちゃうから」と頑なに洗面所の電気を点けないという奥様の女心、わかる(笑)

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佐藤二朗なう

佐藤二朗なう

佐藤二朗

随筆集。 「棋士の中指」で『猫を抱いて象と泳ぐ』を、「バレリーナの爪先」で『掌に眠る舞台』を思い、「ハダカデバネズミの皮膚」で小川さんの作品観をまたひとつ知ることができた。「ボート選手の太もも」ではかつて同僚であったボート選手の体躯が蘇り、自らもボートに乗った時の川面を移動しているのに空を飛んでいるような感覚を思い出す。「カタツムリの殻」では『でんでんむしのかなしみ』に対し綴られる小川さんの言葉に引き寄せられ、「赤ん坊の握りこぶし」では生まれやってきた息子をじっと見つめていた日々を懐かしく思い返した。

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からだの美

からだの美

小川 洋子

お久しぶりですシルバー川柳さん。「孫が聞く 膝が笑うと どんな声?」おじいちゃんおばあちゃんと孫の会話って癒されます🍀*゜ 「本性が 出ると言うから ボケられぬ」わ、わかる気がする!🤣 「メイドカフェ 冥土もカフェが あるんかえ?」冥土でもプリンに生クリームさくらんぼあるかな 「外来を 三日休むと 重病説」待合室は楽しい井戸端会議♪ 「背で泣いた 孫に背負われ 芝居見る」なんだか目が潤みます  現実が厳しいことも多いと思われますが、どうか皆さまが笑顔の時間を忘れず過ごされますように。

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シルバー川柳(3)

シルバー川柳(3)

全国有料老人ホーム協会/ポプラ社

ギャァァァ!ヒィィィ!と心の中で叫び声を上げつつも、不思議と見入って最後までしっかり読了。ミツバチの正面顔は触覚が眉毛のように見えてかわいらしく、複眼からも毛がふさふさ生えていたことには驚いた。そして脚についた花粉の夥しいこと!表紙にもなってるハエトリグモはドアップになっても愛嬌があるね。どの昆虫も意外と毛むくじゃら。ハエの頭に乗るダニは害を与えるわけではなく、単に乗り物として利用しているとか。ヘェー! こんなにあらゆる角度から拡大して撮影できる走査電子顕微鏡って凄い。もう昆虫たちのグラビア写真集だよ✨

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小さなモンスターたち

小さなモンスターたち

西永奨

『しゃばけ』シリーズもいつの間にやら21冊も出ていたとは…!こちらおそらくシリーズ最新作。廻船問屋兼薬種問屋の長崎屋、一人息子の一太郎は20年ほど経っても相変わらず「昨日は死にかけており、今日も亡くなりそうであり、明日は墓の内に入っても、誰も驚かないような病弱者」。仁吉と佐助の活躍は当然として、今作では奉公姿になった屏風のぞきと貧乏神の活躍が新鮮だった。小鬼の鳴家の可愛らしさがめちゃくちゃグレードアップしてる気がする💠 屏風のぞきが動き喋るたび、以前ドラマ化された際の宮迫博之さんがチラついて笑えて仕方なかった😂

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いちねんかん

いちねんかん

畠中 恵

後期高齢者を「高貴香麗者」、気合を「喜愛」と表現されていたのにはどこかむず痒くなるような感覚がありましたが、おしなべてこの方は非常に幸運な老後を重ねておられます。私自身も含め この本を読む全ての人が大崎さんのような老後を実現できるわけではありませんが、大崎さんの生きる姿勢から学ぶことは多くありました。好奇心旺盛でいくつになっても学びを楽しむことを忘れない。70代で手話講座に通い始め通っている教会で通訳をされるとか、素晴らしいです!散歩をすること、花のある暮らし、お金に対する考え方は私も取り入れていきたい。

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89歳、ひとり暮らし。お金がなくても幸せな日々の作りかた

89歳、ひとり暮らし。お金がなくても幸せな日々の作りかた

大崎 博子

驚いた。あの『正欲』を書いた人と同一人物!?とたいそう笑わせてもらいながらも、どんだけ卑屈でネガティブなんだ?と少々心配になりつつ読み進める。なんのことはない、この方は所謂リア充族だ。ご本人にしてみたらいろいろあるかもしれないが傍から見てる分には非常に充実した人生を歩まれている。そして、自分をとことん落とす自虐ネタでまわりを楽しませようとするサービス精神旺盛な方だ。だからこそ、朝井リョウさんが描かれた『正欲』の八重子は「造形に厚みがなく、ただただ元気で明るい人間は異物に近くなる」だったことが腑に落ちた。

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風と共にゆとりぬ

風と共にゆとりぬ

朝井 リョウ

アル・カポネが君臨するシカゴより怖い町、それは夏休みを過ごすおばあちゃん家がある田舎の町。嘘はつく、銃はぶっぱなす。正義のためなら手段を選ばない。そんな田舎のおばあちゃんと過ごした数年間の夏の思い出。  いや〜愉快で心あたたまる物語でした!アメリカで出版された優れた児童書に贈られるというニューベリー賞オナー賞を受賞しているだけあって、噛み応え読み応えのある1998年の良作。茶色に変色した硬めの紙を1枚めくるたびに古き良き時代が目の前に蜃気楼のように立ち上る、そんな素晴らしい読書時間をいただきました。

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シカゴよりこわい町

シカゴよりこわい町

リチャ-ド・ペック/斉藤倫子

沢木耕太郎さんの『愚かさが導いてくれた道』が読みたくて手に。色んな方の考え方や日常が垣間見れるので、このようなエッセイ集も時には良いものですね。アンガールズ田中卓志さんの『最高の食事』は芸人として笑いを取りながらも母親を守ろうとする賢さと優しさに目が潤みました。

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ベスト・エッセイ2022

ベスト・エッセイ2022

青木 耕平/青山文平

かわいらしい仕掛け絵本だった。木曽秀夫さんの絵の雰囲気が少し異なっているので初期の頃の作品なのかな。 ずっと読みたかった絵本なので満足。

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しっぽ.しっぽ.しっぽっぽ.

しっぽ.しっぽ.しっぽっぽ.

木曽秀夫

この作品が初めて世の中に出たのは1982年のようだがめちゃくちゃ面白い!古き良き歯ごたえのある作品という感じ。どうやらシリーズもののようなので続きも読んでいきたい。 ①火曜日のごちそうはヒキガエル②消えたモートンとんだ大そうさく③ウォートンのとんだクリスマス・イブ④SOS!あやうし空の王さま号⑤ウォートンとモリネズミの取引屋⑥ウォートンとモートンの大ひょうりゅう⑦ウォートンとカラスのコンテスト

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火曜日のごちそうはヒキガエル

火曜日のごちそうはヒキガエル

ラッセル・E.エリクソン/ローレンス・ディ・フィオリ

冬の氷の自然科学絵本。バーバラ・マクリントックの絵も素晴らしかった。

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12種類の氷

12種類の氷

エレン・ブライアン・オベッド

『くまのプーさん』にどこか似通う雰囲気があり、くまざわくんのとぼけた可笑しさがかわいらしい児童書。本作はきたやまようこさんの いぬうえくんとくまざわくんシリーズの6作目のようだ。①いぬうえくんがやってきた②いいものひろったくまざわくん③いぬうえくんのおきゃくさま④くまざわくんのたからもの⑤いぬうえくんがわすれたこと⑥くまざわくんがもらったちず

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くまざわくんがもらったちず

くまざわくんがもらったちず

北山葉子

訳者 湯川順夫さんのあとがきが心に残りました。 何かがうまくいかなくなると「〇〇のせい」と社会の少数派を攻撃するようなやり方は現在の世界でも頻繁に見られます。ユダヤ人のせい。障害があるせい。ナチやヒトラーの考え方は過去のものになったのでしょうか?社会や政治は私たちの外にあるのではなく、常に私たちの内側にあることを私も忘れないようにしていきたい。

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父さんはどうしてヒトラーに投票したの?

父さんはどうしてヒトラーに投票したの?

ディディエ・デニンクス/PEF

見るところが多く、読むのがめんどくさかった。

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山に木を植えました

山に木を植えました

畠山 重篤/スギヤマ カナヨ

更生保護施設の施設長、消防士司令補、強行犯係の刑事、救急救命士の4つの物語。それぞれの仕事が垣間見えてとても興味深かった。 傍聞きとはかたわらにいて人の会話を聞くともなしに聞くこと。面と向かって受けた話より傍聞きの方が人間は影響を受けやすいそうだ。たしかに、講義や講演で集団に向けて話す方が個別指導よりも伝わっているのは講師をしていた時に感じたことがある。人はやはり受動的行為より能動的行為が記憶に残りやすいんだよね。褒めたりアドバイスしたり、これからは子に対してもうまく「傍聞き」を使っていこう。

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傍聞き

傍聞き

長岡弘樹

水虫女の治療録、小便男のバタフライエフェクト、今際の言葉「ナッパ!」で家族に永遠の謎を残した男 など程よく力の抜けた文体で可笑しみをこれでもかと出してくるさくらももこさんのエッセイ。笑わせてもらいました。我が身の状況をゆるく毒づきながら楽しむ聡さは真似したくても真似しきれないだろうな。 ただ、ひとつだけ。「メルヘン翁」での祖父が亡くなった際に面白がったり笑ったりするさくらさんやご家族の感覚はどうしても許容し難い。祖父との心の繋がりが薄かったとしても。その薄さゆえの願望からあの友蔵が生まれたとは切なくなる。

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もものかんづめ

もものかんづめ

さくらももこ