ぽん
レビュー
前段で強制収容所に関して明らかになっている客観的な事実が述べられており、具代的に当時の残酷で悲惨な状況を理解たうえで、著者の置かれた状況と経験が学者的立場から描かれている 収容所内の具体的なエピソードや人間模様を通して、極限の状況で人間が人間として精神を保つことの難しさと偉大さ、未来を意識することの重要性、人種と立場を超えた人の本質的な善良さと残酷さを生々しく実感した。極限の状況でも平和で平凡な今の社会活動でも、結局人間が拠り所とするところ 人の善悪は変わらないとも感じた 圧倒的に暗く重いテーマだが、それでも読後は前向きに希望を持つことの重要性を感じさせるような本だった。
ネタバレを読む
夜と霧
ヴィクトル・エミール・フランクル/霜山徳爾
昨今は当たり前になったアプリ婚活とその先の結婚について、固定観念の親世代からの風当たりも感じさせつつ、現代の私たちはどうやって結婚相手という人生のパートナーを選ぶのか?という本音の仕組みまで解剖している話 自分は婚活していないから関係ないとかではなく、誰だって計算して相手を選んでいる部分はあるし、人は言いたくないそれなりの過去があるうえで今目の前の人と対峙しているんだ、ということを改めて思った最後はなんだかんだでロマンティックで大円団という終わり方でよかった。主人公が最初は妥協で選んだような展開だったが、このストーリーを通して相手の素性が明らかになっていくうちにある意味共犯として共鳴していき、ある種の愛情が確かなものになってく過程は面白かった。
傲慢と善良
辻村深月
口コミにあった通り、人生何回目?と聞きたくなるような内容。地頭の良さや中学受験の成功、環境に恵まれていることなど、同じ世代として羨ましい気持ちになる。自分が持って生まれたものを最大限活かして努力して、けど成功の要因はそれだけじゃなく、それを後押ししてくれるような恵まれた環境にあったからこそということを本人もわかってるんだと思う。成功者にありがちな武勇伝的自分語りではなく、謙虚な言い回しにもそれが表れてると思う。マスコミ業界で女子アナという正直俗っぽい職業だけど、価値観も同世代の女性とズレているわけではもなく好感をもてた。あと女子アナって普通に電車乗るんだなと思った。
アンクールな人生
弘中 綾香
主人公の半生をたどって、道徳の教科書にような、真面目に物事に向き合うことの大切さがわかるストーリー。けど時代背景もあると思うが、主人公の男尊女卑的な態度がちょっとひっかかってしまった。最後まで読むかは次巻次第かなと思った。
大地 1
パール・バック
スマホとSNSが人体の身体・精神に与える影響とその根拠がわかりやすくまとまっていた。少し主張が先走っているところもあるように思えたが、2017年の書籍であること、スマホが流通してからの実験データはまだこれから蓄積していくことを鑑みると仕方ないかなと思った。最近テレワークが始まった当初よりも、3年経った今、スマホを触ってしまっている、集中力がかなり下がっているという自覚があるので、この本の指南として使っていこうと思った。
スマホ脳
アンデシュ・ハンセン/久山 葉子
15年前に書かれた本なので会社の雰囲気(今より年功序列、セクハラ横行)だけど、主人公それぞれの抱える状況や悩みは今と同じで共感できる部分、またこれから感じることであろう感情の表現がたくさんあって最後まで興味津々で読むことができた。ストーリー展開としては全部大円団のハッピーエンド。周りには敵もいるけどちゃんと味方もいる。その味方にどれだけ気付けるか、また敵に見える人もどうやって巻き込んで味方にしていくか、考えることが大事だと思った。唯一違和感のように感じたのは、主人公のワーキングウーマンが基本勝気。今よりもっと男社会であった当時の会社でやっていくにはこれくらいの気概がないとダメだったのかなと思うが、今後の自分の仕事に対するスタンスを考え直す機会にもなった。
ガール
奥田 英朗
著者の書いてある価値観全てが正しいとは限らない、それを含めて自分で考えて、ちゃんと計画を立てて未来に向けて行動しなさい、という、本だった。最後の「歳を重ねることでもっとも素晴らしいのは、自分の人生がうまくいったと知る瞬間である」という一文はとても好き。
人生は20代で決まる
メグ・ジェイ/小西敦子
生まれも育ちも東京の、結婚願望にとらわれている良家の女の子と、地方から上京して文字通り1人でどうにか生きてきた女の子の話。それぞれの人生にフォーカスするシーンが多く、二人の絡みは想像以上に少なかったが、対比させられることで土地柄や経済的な格差がとてもリアルに感じられた。最後主人公は離婚を通して自分の足で立って生きていくが、それまでがあまりにも周りの価値観に合わせて生きてきた人生だったから、この先もそれを貫けるのかは気になる(笑)あとは地方からきたもう一人の主人公に幸あれ!と思った。
あのこは貴族
山内 マリコ
言葉の持つ力を感じられる一冊。これからは人前で話すとき、もっと丁寧に言葉に向き合って推敲したいと思った。 ストーリー自体はお仕事要素の入った少女漫画みたいな、都合のよい展開だった(その分わかりやすいので小中学生が読んだら面白いかも?)。主人公がスピーチライターという仕事に目覚め活躍していくのも、周りのご縁と登場人物みんな性格が良くお膳立てしてくれる(ライバルもなぜか手助けしてくれる)からといった感じで、最初はみくびられていたけど本人の努力で周りを振り向かせて仲間にしていく!といったスポ根感はないのが物足りなかった。
本日は、お日柄もよく
原田マハ