作品紹介・あらすじ
祝 『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)で2021年本屋大賞受賞
温かい読後感と優しい余韻に包まれる
一軒の家にまつわる五つの家族の物語
本屋大賞受賞作家、町田そのこが描く傑作家族小説!
築21年の三階建て一軒家を購入し、一階部分を店舗用に改築。美容師の美保理にとって、これから夫の譲と暮らすこの家は、夢としあわせの象徴だった。朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』だって呼ばれてい...
感想・レビュー (5件)
枇杷の木のある家に住んだ人達には、それぞれ息苦しくなる様な過去や事情がある。でも幸せになるためにみんな前に進んでいく、力が湧くような読後感。
全ての話が、つながっていることに、途中から、気づいた。日々の生活が大事と教えてくれているような気がする。
一つの家を舞台に、そこに暮らす、もしくは暮らしていた五組の家族を描く連作小説。 時間を遡るのが新鮮。段々過去に遡っていくので、前の章の描写から、なにがしかのトラブルが起こるのは予想済みなのだが、いつも予想とは微妙に違う展開が待っていて、そこが小気味良かった。
しあわせは人から貰ったり人から汚されたりするものじゃないわよ。自分でつくりあげたものを壊すのも汚すのも、いつだって自分にしかできないの。 キーワードとなるこの言葉。いつかもっとぐっと刺さるときがくるはず。もう一度読みたい。まちだそのこさんの本としてはめずらしくほっこりした。 ままごとの家の春子がかっこよかった。そしてはっとさせられる言葉があった。覚悟。こどもをやめる覚悟。 ぎょらんのようにどこかで人と人が繋がりあう話。
この著者の本はいつもあたたかい。この本も人生を前向きに生きようと思わせてくれる。
