悪い夏

悪い夏

染井為人
KADOKAWA (2020年9月24日発売)
ISBN:9784041098721
本棚登録:158

作品紹介・あらすじ

26歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースの女性に肉体関係を迫っていると知った守は、真相を確かめようと女性の家を訪ねる。しかし、その出会いをきっかけに普通の世界から足を踏み外してーー。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出を目論む地方ヤクザ。加速する負の連鎖が、守を凄絶な悲劇へ叩き堕とす! 第37回横溝ミステリ大賞...

感想・レビュー (7件)

凄く悲惨だが、どうなるのだろうと読み進められた。そう云う面白味がある。

第37回横溝ミステリ大賞優秀賞受賞作。救いようのない話だが面白かった。 悲劇の中にもラストの大乱闘等喜劇的要素交じえた最悪の夏物語。 生活保護受給者を生み出している遠因は何か?狂っているのはそもそもこの国の体制ではないのか?と憤りと胸糞悪さを抱えたまま呆然。

・面白かった

じんせなんてほんのちょっとしたことから転落するのは簡単… きちんと理性をもって生活しないと。

最後までまともな人間がいなかった。全員ヤバイ人で、まともに頑張って生きようとする人間はそのまともじゃない人間に潰される。 救いようがなく堕ちていく。

とても面白くて、すぐに読んでしまいました。 他の作品も読んでみたいです。 内容は、生活保護に対する問題提起の作品かと思いきや、なんだか話が違う方向に進んでいき、救いようのない最後を迎えるお話です。 守が生活保護のシングルマザーに恋をしてしまう時点で「それはよくないだろ〜!」と思ってしまうのですが、そこからの落ちぶれっぷりが哀れすぎて…。 もともと善良な市役所職員だったのに…。そこまでしなくても…。 真面目で正義感溢れる(と思わせてくれた)守の同僚も実はただのメンヘラだったり、本当にまともな人がいないです。 最初イライラしながら読んでいた不正受給のオジサンが最後まともに思えてくるから不思議です。

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