作品紹介・あらすじ
感想・レビュー (13件)
びっくりするくらいするすると読めました。面白かったですよ。
せおまいこさんの本の紹介で出てきた一冊だから借りてみた。医療の話は難しかったけれど、哲学の話も難しかったけれど、心に留めておきたいものがあった。 景色が変わる、そんなふうに捉えられるのは景色が変わるところをみた人だからだろうと想像する。それで言うと、石井先生が思いついた。「景色が変わっただろ?」「腹をくくれ」先生、おおきに。 スピノザについても興味がわいた。 人間はとても無力な生き物で、大きなこの世界の流れは最初から決まっていて、人間の意志では何も変えられないと言った思想家。 どんなに意志がつよい人でも、幾何学平面上の三角形の内角の和を、200度にすることはできない。 こんな希望のない宿命論みたいなものを提示しながら、スピノザの面白いところは、人間の努力を肯定した点にある。すべてが決まっているのなら、努力なんて意味がないはずなのに、彼は言うんだ。“だからこそ”努力が必要だと。 辛い話、、ではなく希望に溢れた論理展開と感じる。 人の出会いもまたそうであろう。意志の力でより良い人と巡り合えるというものではない。 願ってもどうにもならないことが、世界には溢れている。意志や祈りや願いでは、世界は変えられない。そのことは絶望ではなく希望なのである。 人は無力な存在だから、互いに手を取り合わないと、たちまち無慈悲な世界に飲まれてしまう。手を取り合っても、世界を変えられるわけではないけれど、少しだけ景色は変わる。真っ暗な闇のなかにつかの間、小さな明かりがともるんだ。その明かりは、きっと同じように暗闇で震えている誰かを勇気づけてくれる。そんなふうにして生み出されたささやかな勇気と安心のことを、人は『幸せ』と呼ぶんじゃないだろうか。 技術には、人の哀しみを克服する力はない。勇気や安心を薬局で処方ができるようになるわけでもない。 私たちにできることは暗闇で凍える隣人に、外套をかけてあげることなんだよ。
派手な展開や強く泣かせるような場面があるわけではないのに、読み進めるうちにじんわりと心が動かされ、気づけば目が潤んでいるような、静かな感動を覚えた。 この作品で印象に残ったのは、主人公が必要以上に前に出ないことだと思う。物語を引っ張っていくというよりも、周囲の人や出来事に寄り添いながら、その場にいる一人として存在しているように感じられた。そのため、読んでいる自分も主人公と同じ位置に立って、病院や街の風景を見ているような感覚になった。地域医療の現場の空気感や、人と人との距離の近さが、途切れることなく頭の中に流れ続けていたのがとても印象的だった。
哲学的でもある医療モノ 京都の和菓子が食べたくなる
夏川草介さんは現役の医者だそうだが、あの本読みました?で風貌を見て、もし映像化するなら、主人公のマチ先生は彼じゃないと、と思った鈴木保奈美も同じことを言っていた。 心が素直になったのか、とても 共感した。
最先端の医療と町中の人生に関わるひとの生死を見つめる医療。 どうにもならない世の中に対しても努力は大切と説く哲学者スピノザの言葉を拠り所に、一人ひとりの生命を大切にする。 急がなくてよい、先生おおきに、寒がってる人に外套をかけてあげる役目なんだよ。 技術と哲学どっちも大切。バランス。
医者もの
訪問診療。 マチ先生の考え方とかとても癒される。 これは続きが読みたい
大きな展開はないがマチ先生が大学病院に内視鏡手術の手伝いに行く所は面白かった。良い本。
命の灯火が尽きた時、最期をどう向き合っていくかをメインに描いた作品。日本では「安楽死」は認められていないため、患者がそれを希望してもそのまま死に向かわせることはできない。医師が執筆した作品ということもあり、医学用語や難解な言葉が多く、辞典で調べながら読み進めていった。そして、京都を舞台にしているため、京都の祭り・名所・通りの名前など、京都に関することも学べた。京都の地域病院(原田病院)で内科医として勤務する主人公 雄町哲郎(38)は、もとは大学病院で凄腕内科医として名を馳せていたが、ひょんなことからこの原田病院で勤務することとなった。オランダの哲学者 スピノザ (1633~77)の「世界はすべて決まりきっているが、だからこそ努力が必要」という言葉に感銘を受け、ここ(原田病院)でできる最大限の努力をして行こうと心に決めた。また、大の甘党で餅が大好きなことも書かれている。
ネタバレを読む
夏川草介さんの本、さすがです。スピノザについても人間はとても無力な生き物で、大きなこの世界の流れは最初から決まっていて、人間の意志では何も変えられない。でもだからこそ努力が必要だと。矢来餅、阿闍梨餅、長五郎餅たべてみた〜い。




