夜行観覧車

夜行観覧車

湊かなえ
読者数: 337
発売日: 2013/1/3
出版社: 双葉社
ISBN: 9784575515527

レビュー (4件)

各家庭、視点が変わりながら物語進行すると、読んでいる自分も見え方や考え方が違ってくる不思議な感覚。 同情?みたいな。 彩花が、慎司が、どういう意図で相手にぶつけていたのか、心情と行動が結びつきながらだんだん紐解かれていく後半は続きが気になってどんどん読み進められた。 貼り紙を剥がす歩美と比奈子の再会のシーンはじーんときたし、弟の弘樹は姉を引っ張っていてすごく格好良くて良い男だと思った。 相手に自分の夢を押し付けることは難しいなとも感じた。 小島さと子は最初の印象から後半にかけてイメージが変わってきた。 p318の「止めてくれる人がいるかいないか。それに左右される場合の方が多いのではないか。犯罪を起こさない人間が決して偉いわけではない。自分には止めてくれる人がいた。高橋淳子にはいなかった。たったそれだけの違い。」 自分の家で起きていたかもしれない事件。昨今はハラスメントが多様化しすぎて他人が注意できなかったり、近い近所付き合いを嫌厭する社会だけれど、関わり合いは大切に感じられた。 終わり方としては事実と少し異なって母親をかばう結末。少しモヤモヤとするけれど、3人が納得して出した結論なら部外者が立ち入る隙はないと思った。

ネタバレを読む

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家族にしか分からない、悲しみや寂しさ、執着、憧れ、独占欲、飢餓感、そして幸福感。 親としての責任感や愛情のつもりが、逆に相手を息苦しくさせ、追い詰めてしまうこともある。 そのせいで、心の距離をどう取ればいいのか分からなくなるもどかしさが生まれる。 他人なら見えることが、家族だからこそ見えない。 特に親子は、始まりから強く結びついているぶん、相手のすべてを理解しているような錯覚をしてしまう。 でも、どれだけ近くにいても、子どもには子どもの人生があり、思いは完全には重ならない。 「命と引き換えてもいい」とさえ思っているのに、どうしてこんなにすれ違ってしまうのだろう。 夫婦は、もともと他人だからこそ、違いを前提にして関係を築ける。 そのぶん、割り切れたり、距離を調整する余白がある。 ある意味で“偽薬”のように、救いになることもあるのかもしれない。 だから、努力しようと思う。 どんな関係性も、「ありのまま」だけでは理想通りにはいかない。 家族も、親子も、夫婦も――互いに歩み寄る意志があってこそ、育っていくのだと思う。

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読みもの 続ききになるー

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殺人事件は我が家で起こっていたかもしれない。 どんな家庭も問題を抱えていて、普段は上辺しか見えていない。

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