なこ
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レビュー
各家庭、視点が変わりながら物語進行すると、読んでいる自分も見え方や考え方が違ってくる不思議な感覚。 同情?みたいな。 彩花が、慎司が、どういう意図で相手にぶつけていたのか、心情と行動が結びつきながらだんだん紐解かれていく後半は続きが気になってどんどん読み進められた。 貼り紙を剥がす歩美と比奈子の再会のシーンはじーんときたし、弟の弘樹は姉を引っ張っていてすごく格好良くて良い男だと思った。 相手に自分の夢を押し付けることは難しいなとも感じた。 小島さと子は最初の印象から後半にかけてイメージが変わってきた。 p318の「止めてくれる人がいるかいないか。それに左右される場合の方が多いのではないか。犯罪を起こさない人間が決して偉いわけではない。自分には止めてくれる人がいた。高橋淳子にはいなかった。たったそれだけの違い。」 自分の家で起きていたかもしれない事件。昨今はハラスメントが多様化しすぎて他人が注意できなかったり、近い近所付き合いを嫌厭する社会だけれど、関わり合いは大切に感じられた。 終わり方としては事実と少し異なって母親をかばう結末。少しモヤモヤとするけれど、3人が納得して出した結論なら部外者が立ち入る隙はないと思った。
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