あきりん

2025年4月24日

家族にしか分からない、悲しみや寂しさ、執着、憧れ、独占欲、飢餓感、そして幸福感。 親としての責任感や愛情のつもりが、逆に相手を息苦しくさせ、追い詰めてしまうこともある。 そのせいで、心の距離をどう取ればいいのか分からなくなるもどかしさが生まれる。 他人なら見えることが、家族だからこそ見えない。 特に親子は、始まりから強く結びついているぶん、相手のすべてを理解しているような錯覚をしてしまう。 でも、どれだけ近くにいても、子どもには子どもの人生があり、思いは完全には重ならない。 「命と引き換えてもいい」とさえ思っているのに、どうしてこんなにすれ違ってしまうのだろう。 夫婦は、もともと他人だからこそ、違いを前提にして関係を築ける。 そのぶん、割り切れたり、距離を調整する余白がある。 ある意味で“偽薬”のように、救いになることもあるのかもしれない。 だから、努力しようと思う。 どんな関係性も、「ありのまま」だけでは理想通りにはいかない。 家族も、親子も、夫婦も――互いに歩み寄る意志があってこそ、育っていくのだと思う。

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湊かなえ

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