生殖記

生殖記

朝井リョウ
小学館 (2024年10月2日発売)
ISBN:9784093867306
本棚登録:165

作品紹介・あらすじ

『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇 とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。 体組成計を買うためーーではなく、寿命を効率よく消費するために。 この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。 【編集担当からのおすすめ情報】 <著者プロフィール> 朝井リョウ(あさい・りょう) 1989年、岐阜県...

感想・レビュー (7件)

浅井リョウさんの小説は初めて読みました。 生殖器に宿る生殖本能目線の小説って発想が面白いですね。私は異性愛個体なんだと思いますが尚成のよな同性愛個体の方は確かに生きていくのに苦悩が多い事だろうと思いました。

帯の感想にもありましたが、今後人間という生き物を見るときや接するときにこの物語をどうしても考えてしまうんだろうなと思います。読む前の自分には戻れない。朝井リョウさんの作品にはいつも衝撃を受けます。

視点が独特 口調が最後まで違和感だった

語り手が生殖本能って、斬新だわ。 なんだかんだすべての人が平等みたいな世の中ってやっぱり難しい…

途中でやめた

ハードカバーが重々しい感じだったので硬めの内容かな?と思ったら、表現とか笑っちゃうところも多くて、個人的には「東京タラレバ娘」のタラちゃんとレバちゃんみたいな個体で再生されました。 カミングアウトしない(できない?)ことを選んだ(選ばされた?)同性愛者の男性は世の中の成長、発展…等と距離を置いて生きています。 途中でカミングアウトした成長、発展に寄与する男性に会うのですが、「ここでカミングアウトする機会を与えられて仲間もできて、考え方も変わってめでたしなのかな」と思ったのですが、朝井リョウさんって本当に思案深いというか天才で、私からしたら斜め上の本人なりの「しっくり」を見つけた終わり方がとてもよかったです!! 少数性愛者が認められつつあるのもただの時代の流行りとか、カミングアウトした人とできなかった人の分断が生まれるとか、今まで考えも及ばなかったことが書かれていて…。自分の思考の狭さを何度も感じて、ゆえに読み終わった後少し新しい価値観を手にできた感じがしたり…。 終わりの「よかったね、ショウセイ」のところがなんかすごく愛に溢れていて、泣きそうになりました。

オス個体の〇〇目線で進んでいくお話…おそらく人類史上初の主人公が私たち人間に、全く新しい視点での人類学を教えてくれる、刺激的な作品。