ドグラ・マグラ(上)

ドグラ・マグラ(上)

夢野久作
KADOKAWA (1976年10月13日発売)
ISBN:9784041366035
本棚登録:123

作品紹介・あらすじ

「ドグラ・マグラ」は、昭和10年1500枚の書き下ろし作品として出版され、読書界の大きな話題を呼んだが、常人の頭では考えられぬ、余りに奇妙な内容のため、毀誉褒貶が相半ばし、今日にいたるも変わらない。〈これを書くために生きてきた〉と著者みずから語り、10余年の歳月をかけた推敲によって完成された内容は、著者の思想、知識を集大成する。これを読む者は一度は精神に異常をきたすと伝えられる、一大奇書。 ※画...

感想・レビュー (2件)

夢野久作「ドグラマグラ」読了。 というより、再読了かな。言わずと知れた日本三代奇書のひとつ。20代の頃に読んで大好きになった本。 巻頭歌「胎児よ胎児よなぜ踊る 母親の心がわかって おそろしいのか」という不穏な感じで始まるこの物語。 この上巻はアンポンタン・ポカン博士と正木敬之先生の論文のような形をとった「脳髄はものを考えるところにあらず」「狂人の解放的治療場」「心理学的遺伝」「胎児の夢」という内容が半分以上を占めている。そしてその全ての論旨が立て板に水のように流れて記憶を無くした主人公同様あれよあれよという内に終わってしまう。 のだが、いやいやどうして。 この立て板に水のように流れる論文たちが一癖も二癖もある癖に妙に魅力的で納得させられてしまうのだよ。人間とは脳で考えてるように見えて実は人体を形成しているすべての細胞で考えており、脳はただの電話交換手なのであるとか、胎児は母のお腹の中にいる10ヶ月のうちに地球に生命が誕生した時から人間になるまでの夢を見ているとか、嘘みたいだが否定できない内容なのである。 そんなお話が初版が昭和51年。西暦では1976年。45年前に書かれているという驚き。いやはや未だに圧倒される。 そしてこのアイデアにも増して全体的にこの小説の面白さを引き上げてるのが、文体のリズム。スラスラと身体に入ってくる。人によってはこのリズムが合わない人もいると思うが、この夢野久作が作る文体のリズムが自分にとってとても心地よいリズムなのである。 さあ果たしてこれらの内容が一体主人公とどう関わりあるのか。いざ下巻へ(といってももう全部内容知ってるんだけどね)

「ドグラ・マグラ」を読むきっかけになったのは、彩葉に演劇を観に行かないか?と誘われたからである。それまで、この日本三大奇書のひとつ「これを読む者は一度は精神に異常をきたす」と伝えられる作品である事も知らなかった。 上・下巻共に演劇を観るために原作を急いで読んだ。中々進まない場面もある。理解しようと頭で考えるからだ。これは、呉一郎の物語というより昔の精神科医の話であり、筆者夢野久作の考える精神医療が本の発表より30年も後から行われた事に驚きを隠せない。精神医療は現在も最大難関と言われる難しい問題である事には変わりないのである。