作品紹介・あらすじ
【文学/日本文学小説】書籍編集者の鳴木戸定。彼女は幼い頃、紀行作家の父と行った旅先で特異な体験をする。不器用に生きる定はある日、自分を取り巻く世界の素晴らしさに気づき、溢れ出す熱い思いを止めることができなかった。第1回河合隼雄物語賞受賞作。
感想・レビュー (2件)
途中までは変な内容だな〜と思って辞めようと思ったりしてたけど後半、すごく引き込まれた。怪しい盲目男武智が実は本当に定のことを見ていたこと。美人な小暮さんが実はとても正直に話せる友達になったこと、守口廃尊の不思議な存在感。包まれてしまった。
自分とは全く違う世界を視る住人と物語を共にした時の独特の感情。これが小説を読む醍醐味。始めから終わりまで存分に味わった。主人公よ特性が守口、悦子、小暮、父親といったピース達に彩られてこんなにも美しく世界の断片を活写するとは。