ジヴェルニーの食卓

ジヴェルニーの食卓

原田マハ
集英社 (2015年6月25日発売)
ISBN:9784087453270
本棚登録:162

作品紹介・あらすじ

モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。19世紀から20世紀にかけて活躍した美の巨匠たちは何と闘い、何を夢見たのか。彼らとともに生きた女性たちの視点から色鮮やかに描き出す短編集。(解説/馬渕明子)

感想・レビュー (7件)

さすが原田マハ❗ まるでその場にいたような感じ。 見たんかいって感じ。 素直に読みました。直近に炎のゴッホの映画を観て、(わかるゴッホ)を読んだから凄くわかりました。 しいて言えば、挿絵が欲しかったです😊

思わず感嘆の溜め息が漏れる美しい絵画作品のような短編集。 各々某巨匠に関わる周囲の人物目線で語られており、フィクションを交えつつも著者が描くと全て史実と思えてしまう圧倒的なリアリティはさすがの一言。 モネ連作展に行く楽しみが増し増しになった。

マティス、ドガ、セザンヌ、モネ の4人の印象派画家に関する話。 全て本人が主人公ではなく、各々の画家の近くにいる人から見た画家の姿を描いている。 助手、ライバル、美術商の娘、義理の娘から見た画家の姿。 セザンヌに関しては、美術商タンギー爺さん(ゴッホも描いている)の娘がセザンヌに宛てた手紙、と言う書き方をしている。つまりスポットライトをどこから充てているかで、画家の姿が違ってくる…みたいな、不思議な感覚。 マハさんの上手いところは、史実を充分踏まえた上で史実と史実の間の隙間を際どく突いてストーリーを展開するところだ。 「そうだったんだ❗」と、決して納得してはいけないのに、つい納得させられてしまう。 でもそれが、画家の本当の姿かもしれない、と思わせるところが上手いと思う。なまじっか知識がある人ほど引き込まれて、騙されてしまうと言う感じがする。知識が中途半端だからこそ引き込まれてしまうのかもしれない。 但し、画家の人柄はとても良く表現されていると思う。人柄を感じることが出来れば、また絵も深みが増す。 マハさんを読む前と、読んだ後では雲泥の差がある。 また展覧会に行ってみよう。

マハさんの作品は非日常へ連れていってくれるので好き。そして対象の画家の絵をみたいと思わせてくれる。

短編集。 面白かった。