森に眠る魚

森に眠る魚

角田光代
双葉社 (2011年11月1日発売)
ISBN:9784575514643
本棚登録:104

作品紹介・あらすじ

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。-あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。

感想・レビュー (2件)

角田光代。なんて嫌な作家なんだろう。私たちの腹のうちをこんなにあけすけに描いて。自分だって見て見ぬふりをしている黒い感情なのに。全てを見透かされてる感じがして読み心地が悪い。でもページを繰る手は止まらない。作中の容子や瞳はまるで鏡に映った自分。彼女らを客観的に観察し受け入れることは、自身を認めること。こうして私はいつも角田氏の作品に責められつつ救われている。

私も子供を持つ親として読んでいろんな意味でハラハラしました。 ママ友同士の話ということで、桐野夏生さんの「ハピネス」に似ているなぁと感じ、この作品が好きな方はハピネスも好きなのでは、と思いました。 最初は誰が誰だかわからないのに、だんだん個性が見えてきて、それぞれの母親の嫌なところが自分にもあるなぁと重なり、そういう意味で読んでいてハラハラしました。 読む人によってどの母親に嫌悪感を感じるかが違って、それによって価値観が見えてきそうな作品だなぁと。 実際にあった事件をモチーフにしているとのことで、その事件も調べてしまいました…。 本を読むタイミングって私はすごく大切だと思うのですが、自分が母親になり、この作品を読んだので、すごく面白いと思いました。いいタイミングで出会えた本でした。