gegetom
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2025年7月12日

角田光代。なんて嫌な作家なんだろう。私たちの腹のうちをこんなにあけすけに描いて。自分だって見て見ぬふりをしている黒い感情なのに。全てを見透かされてる感じがして読み心地が悪い。でもページを繰る手は止まらない。作中の容子や瞳はまるで鏡に映った自分。彼女らを客観的に観察し受け入れることは、自身を認めること。こうして私はいつも角田氏の作品に責められつつ救われている。

森に眠る魚

森に眠る魚

角田光代

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