レビュー (4件)
女性の内側にこもるほの暗い部分を書くと、本当にうまい作家さんだと思う。 主人公の母親は、生まれや育ちで人を差別することに嫌悪感を抱く一方で、学業、運動両面で優れた息子が、貧困世帯の子供たちと同じ公立中学に進む事実を知ると、激しく動揺したりする。 若干デフォルメされた感はあるが、しかし、このような思いを持った覚えのある女性は、結構いるのではないか。 心理描写が上手い分、物語自体が、やや尻すぼみになってしまったのは残念。 主人公の息子の翼くんについては、後半はただただ気の毒である。
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自分のことかと思った 我が家のことかと思った 崩れていくさまがうちの子とかと思った 決定的なある日から始まるんじゃなく、 だんだん波が強くなって 砂の壁の土台が少しずつ削られて そして大きく決壊する そのさなかのときは 必死で、 傍からみたらきっと滑稽で。
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