透明な夜の香り

透明な夜の香り

千早茜
集英社 (2023年4月20日発売)
ISBN:9784087445091
本棚登録:106

作品紹介・あらすじ

【第6回渡辺淳一文学賞受賞作】 香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。 元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、古い洋館の家事手伝い。 その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める親など、事情を抱えた依頼人が次々訪れる。一香は朔の近くにいる...

感想・レビュー (3件)

10/7読み終わり。しみじみ面白かった。描写が綺麗。引きこもった兄が自殺した心に闇をもつ一香が、調香師・朔のもとで働く。犬並みの嗅覚を持つ朔も子供の頃母に捨てられ、臭いで人の体調や気持ち、事件も感じとる。朔の仕事のパートナー新城の存在がいい感じ。千早さんの本に出てくる食べ物が美味しそう。続編も借りました!

誰にも言えない後悔を抱える一香と幼少期の辛い経験を抱える調香師の朔。雇用関係として出会った2人だけど、少しずつ心の距離が近くなり、それぞれの過去と向き合うことになる。ひとつひとつのエピソードには香りを伴い、登場する食べ物や飲み物にも香りを感じる。香りは永遠に脳に刻まれる。それを引き出すきっかけさえあれば。

ネタバレを読む

香りは本当に永遠に記憶されるのか気になった。少しわざとらしいというか、下手な展開もあったけど、引き込まれる文章だった