方舟

方舟

夕木春央
講談社 (2024年8月9日発売)
ISBN:9784065358542
本棚登録:131

作品紹介・あらすじ

極限状況での謎解きを楽しんだ読者に驚きの〈真相〉が襲いかかる。 友人と従兄と山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った家族と地下建築「方舟」で夜を過ごすことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ、水が流入しはじめた。 いずれ「方舟」は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。 生贄には、その犯人がなるべきだ。--犯人...

感想・レビュー (7件)

最初に読んでいる時は、この状況で殺人を犯す犯人の気持ちが全くわからず、猟奇的な理解できない殺人犯の像が浮かぶ。 エピローグを呼んだ瞬間に、犯人の気持ちが一気にわかるようになり、どちらかと言うと共感できる部分が増えたのが凄かった。 あの状況であれば、普通の女性が殺人を犯すハードルは確かにとても下がる。どうせ死ぬ人であるのだから。 読んでいるうちに、犯人は麻衣っぽいな、さやかが殺されたのは裕哉から半年前くらいに写真が送られてきたって言っちゃったからかな、翔太郎探偵役をしっかり務めたあとに死んでくれって頼んでるの違和感あるなとかは思っていたけれど、モニターの映像が交換されていたのは分からなかった。 ミステリーものの頼りになる探偵役が、最初からずっとミステリアスでこの人が言ったことは正しいと思わされそうな役柄でいてくれたのに、最後の最後で何を思ったんだろうと思った。有栖川有栖のあとがきに、ここまでコケにされた探偵はいないとあったけれど、その通りだと思う。 翔太郎も冷静に見えて、人に死んでくれと頼んでいる。いちばん冷静だったのは、やっぱり犯人だった。 あのやり方であれば、死ぬのは自分に死んでくれと言った人達であるから、こちらとしても良心が傷つかない。 自分だったらどう行動するか沢山考えた。

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ラストの結末が衝撃的すぎた!! 2周目も読みたいです

過酷な状況で、連続殺人が起こる。サバイバルのためには他人はどうでもいいという自己中。愛されていないが故の決断?愛されていたら変わった?すごい自分に正直でうらやましい気もする。こういう人が生き残るんだろうな。でも、自分がそうなりたいかと聞かれると違う。終わってからもしばらくもやもや納得行かない気分だった。

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ツッコミどころ満載

死と隣り合わせの臨場感を描くのが秀逸で、こちらまで恐怖を感じずにはいられない。普通に暮らしていた人間が突然殺人鬼になれる動機が到底理解不能であったが、むしろ楽な死に方をさせているという面で善を積んでいるかのような錯覚を生じる心理トリックが天才的。読者から見て常に冷静沈着で頼り甲斐のあった翔太郎が、根本的にまんまと騙されていることで、読者もろとも裏切られたような焦燥感と、最期には多大な絶望感を感じる。想像を遥かに超えてくる練り上げられたストーリーであった。

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方舟、読了。 いやぁ~噂以上の衝撃でした。 まだ読んでない人が羨ましい。この衝撃をこれから体験できるなんて! 読む前には戻れないので2周目行っときます。