怒り(下)

怒り(下)

吉田修一
中央公論新社 (2016年1月1日発売)
ISBN:9784122062146
本棚登録:134

作品紹介・あらすじ

山神一也は整形手術を受け逃亡している、と警察は発表した。洋平は一緒に働く田代が偽名だと知り、優馬は同居を始めた直人が女といるところを目撃し、泉は気に掛けていた田中が住む無人島であるものを見てしまう。日常をともに過ごす相手に対し芽生える疑い。三人のなかに、山神はいるのか?犯人を追う刑事が見た衝撃の結末とは!

感想・レビュー (2件)

人が人を“丸ごと”信じることの難しさ、そしてそれでも「信じたい」と願う気持ち。この感情の根底には、「自分も誰かに信じてもらいたい」という願いがあるのだと感じました。 「信じられたい」とは、自分の存在をそのまま受け入れてもらえるという安心感であり、そこにいてもいいと思える心の居場所です。つまり、承認されることによって、私たちは自分の価値を感じられるのだと思います。 一方で、「信じられていないかもしれない」と感じるときの、あの居心地の悪さ。信頼されるというのは、簡単なようでとても難しいことです。 だからこそ、まずは自分から。相手を信じる姿勢が、信頼の輪を広げていく一歩になるのだと思いました。

読み進めていくうち次々と明かされる。 信じるって難しいことだよなぁ。