作品紹介・あらすじ
昭和〜令和へ壮大なスケールで描く人間賛歌
人類の歴史は百万年。だが、子どもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない。
舞台は、令和と昭和の、とある出版社。コロナ蔓延の社会で、世の中も閉塞感と暗いムードの中、意に沿わない異動でやる気をなくしている明日花(28歳)。そんな折、自分の会社文林館が出版する児童向けの学年誌100年の歴史を調べるうちに、今は認知症になっている祖母が、戦中、学年誌の編...
感想・レビュー (4件)
令和と昭和が交錯し出してからが面白かった。創刊百年の記念行事のために過去を調べ、野山に話を聞く中で祖母の文林館での姿を知っていくのも◎野山と明日花の巡り合わせもよい。
実在の出版社の歴史がベースにあり、その歴史を辿りながら読み進める。
戦争という非常時が結びつけた人と職場。 半分くらいはノンフィクションだろう。出版史としても興味深く読んだ。 戦争中、男性の代替要員として就業した女性にスポットを当てた小説はさほど多くないので(多嶋斗志之などの先行作品はあるが)、そういう意味でも新鮮。スエさんが素敵。 最後が本当に良かった。