作品紹介・あらすじ
わたしは誕生日すら祝ってもらえないーー。冷えきった夫との関係や子どもとの生活に孤独感を募らせていた沢辻涼子は、我慢の糸が切れたある日、家出を決行する。飛び出した夜の街で出会ったのは、洞察力と推理力に優れた美しいBARのママ、野宮ルナ。ルナに自分が抱える報われなさの正体が「大学時代の元彼」であることを言い当てられた涼子は、彼女と二人で元彼を探すため大阪へ旅に出ることに……。元彼探しが難航する中、次々...
感想・レビュー (3件)
秋吉理香子さんの作品が面白くて最近よく読むのですが、どんでん返しのミステリー系が多いのかと思いきや、こちらはとても心温まる作品でした。 個人的には途中巻き込まれる事件はふーん…という感じだったのですが、最後がとても良くて。 ママの主人公への気持ちを考えると切なくなるのですが、なんだか温かい気持ちになりました…。 「みんな誰かのあこがれの人」みたいな言葉がとても素敵でした。
この半年の間に読んだ小説の中で、三指に入る名作。主人公で専業主婦の涼子に対する、作者の眼差しが優しい。 途中に差し挟まられるミステリも、挿話にするには惜しいクオリティ。いやしかし、最後の最後に明かされる和人の秘密にはしてやられた。 大阪の文学巡礼本としても優秀。
