
ちりめんじゃこ
2025年8月29日
プロローグで人類が何らかの空気汚染的な要因で滅亡していることが仄めかされ、そこから終盤まで人類が滅亡してゆく様子が写実的に描かれている。生物兵器として研究された新種の菌株の0℃以上で異常増殖という特性が序盤で明かされ、南極大陸に従事していた各国の数千人だけが菌に侵されず生き残り、それ以外の大陸の人類全員が全滅。人類が様々なフェーズで混乱し、社会が麻痺していく様を明確に描写した。医学的な観点からのみではなく、政治的・哲学的など多岐にわたる知見から騒動を意見し、専門的な単語も多かったがそこに文学性を感じ、興味深い文章になっていたと思う。この作品がコロナ禍の前に書かれた作品であるのはすごい。フィクションの中にも戦争の不毛さを訴える強い意志があり、啓蒙的な側面も大きかった。

復活の日
小松 左京
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