復活の日

復活の日

小松 左京
KADOKAWA (2018年8月24日発売)
ISBN:9784041065815
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作品紹介・あらすじ

吹雪のアルプス山中で遭難機が発見された。傍には引き裂かれたジェラルミン製トランクの破片。中には、感染後70時間以内に生体の70%に急性心筋梗塞を引き起こし、残りも全身マヒで死に至らしめるMM菌があった。春になり雪が解け始めると、ヨーロッパを走行中の俳優が心臓麻痺で突然死するなど、各地で奇妙な死亡事故が報告され始めるーー。人類滅亡の日を目前に、残された人間が選択する道とは。著者渾身のSF長編。

感想・レビュー (1件)

プロローグで人類が何らかの空気汚染的な要因で滅亡していることが仄めかされ、そこから終盤まで人類が滅亡してゆく様子が写実的に描かれている。生物兵器として研究された新種の菌株の0℃以上で異常増殖という特性が序盤で明かされ、南極大陸に従事していた各国の数千人だけが菌に侵されず生き残り、それ以外の大陸の人類全員が全滅。人類が様々なフェーズで混乱し、社会が麻痺していく様を明確に描写した。医学的な観点からのみではなく、政治的・哲学的など多岐にわたる知見から騒動を意見し、専門的な単語も多かったがそこに文学性を感じ、興味深い文章になっていたと思う。この作品がコロナ禍の前に書かれた作品であるのはすごい。フィクションの中にも戦争の不毛さを訴える強い意志があり、啓蒙的な側面も大きかった。