香君 下 遥かな道

香君 下 遥かな道

上橋 菜穂子
文藝春秋 (2022年3月24日発売)
ISBN:9784163915166
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作品紹介・あらすじ

「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし」--かつて皇祖が口にしたというその言葉が現実のものとなり、次々と災いの連鎖が起きていくなかで、アイシャは、仲間たちとともに、必死に飢餓を回避しようとするのだが……。  オアレ稲の呼び声、それに応えて飛来するもの。異郷から風が吹くとき、アイシャたちの運命は大きく動きはじめる。 圧倒的な世界観と文章で我々に迫る物語は完結へ。

感想・レビュー (3件)

最初はどうかと思ったが、やはり上橋ワールドだった。少し時間をおいてもう一度読み直さねば💖

生物たちが香りでコミュニケーションをとっていることを軸に紡がれた、とても深い物語だ。 アイシャの母親の故郷であり、オアレ麦をもたらした世界はどんなところなのか、何故そことの行き来ができないのか、そこに新たな物語を見てしまう。

植物の香りを材材にして繰り広げられる壮大な作品。着眼点が凄い。 オアレ稲という架空の植物を通して、帝国繁栄の継続の難しさ、香君と皇帝との関係、帝国と藩王の関係を上手く取り込んでいる。 作者の入念な準備、練り上げられたストーリーにどんどん引き込まれていく。