ヴォンカ

2025年12月18日

地味な一人の男の話なのに、なぜこんなに染みるのか。彼の孤独や悲しみ、つかの間の喜びや苦悶が自分のことのように感じられた。まるで身近にいて、知り合いになったかのような錯覚に陥った。自分の仕事、教えることに真摯で誠実な姿に胸を打たれた。敵対しながらも抗わず受け入れる姿勢に感心もした。初めて、ドラマチックでもなく浮き沈みも特にない物語を読んでいて心地よいと感じた。装丁もシンプルで品があり、紙もツルツルでなく石鹸の表面に触れているようなすべすべした感覚でページをめくる指が踊った。

ストーナー

ストーナー

ジョン・エドワード・ウィリアムズ/東江一紀

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