命の版木

命の版木

植松三十里
中央公論新社 (2011年3月23日発売)
ISBN:9784122054578
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作品紹介・あらすじ

仙台で無禄厄介の林子平は、江戸・蝦夷・長崎を訪れ見聞を広め、海防の必要性を著すが、老中・松平定信から本・版木の回収を命じられる。子平は、版木の彫師お槇と二人で『海国兵談』の完成を目指すが、幕府の監視は日に日に強まり、二人は命をかけて版木を彫ることになる…。第15回中山義秀文学賞受賞作『彫残二人』改題。

感想・レビュー (1件)

定信に呼び出され、防衛についての参考意見を聞かれるのかと思いきや 親のことまで持ち出され、発禁、本の回収まで言い渡され幕府に追われる身となった子平。 彫師のお槙と版木を持って逃走する描写もスリル満点だが、子平が見た蝦夷や長崎の話もなかなか興味深い。子平没後60年に浦賀に来たペリー。彼の小笠原諸島領有宣言を翻したのは、子平が書いた『三国通覧図説』だった。その領有が幕府のものである、と明記されていたのだ。 子平をあれほど嘲笑していた林大学頭が、それを持ち出してペリーに見せた場面をぜひ見てみたかった。 子平が命を掛けて、日本を守ってくれたのだ。 どんな時も広い視野で情報を集め、冷静に判断していくことが大切だ。 いつの時代も国を守るのは、きちんとした資料と軍事力である。