のりこ
2025年9月27日
“ふるさとをあなたに”というカード会社のキャッチコピーに惹かれた都会人が、ふるさと体験をするために東北の小さな村を訪れる。そこで待っていた疑似母にあたたかく迎えられて心を開き、心の傷を癒やされて帰って行く。 ビジネスとして成り立っている一種の体験旅行だが、そこで自然に交わされる親子の会話がとても良い。母の役を演じる老婆のほうも、だまされに行く都会暮らしの顧客のほうも、心を寄せ合いお互いを案じ合って、つながっていく。 いかにも現代人の寂しい心の隙間に入り込んむようなこんなビジネスが成り立つ時代なのかも。でもビジネスを越えてつながっていく心と心が悲しくあたたかい。

母の待つ里
浅田 次郎
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