方舟を燃やす

方舟を燃やす

角田光代
新潮社 (2024年2月29日発売)
ISBN:9784104346080
本棚登録:69

作品紹介・あらすじ

オカルト、宗教、デマ、フェイクニュース、SNS。あなたは何を信じていますか? 口さけ女はいなかった。恐怖の大王は来なかった。噂はぜんぶデマだった。一方で大災害が町を破壊し、疫病が流行し、今も戦争が起き続けている。何でもいいから何かを信じないと、今日をやり過ごすことが出来ないよーー。飛馬と不三子、縁もゆかりもなかった二人の昭和平成コロナ禍を描き、「信じる」ことの意味を問いかける傑作長篇。

感想・レビュー (4件)

ごく普通の二人が主人公。それぞれの人生が世の流れと共に少しずつ変化していく様子が描かれている。大きな出来事はないのに引き込まれた。

登場人物に共感できなかったせいかあまり楽しめなかった。不三子は承認欲求の強い人間だったのか。

読みごたえのある、小説らしい小説。 最初、ものすごく遠い位置にいる二人の人生が、いろいろな選択の末に交錯する。人と人とが出会うというのは、こういうものかもしれないと思わされた。 それにしても、不三子の人生(特に終盤)にはどきりとさせられる。信念のない子育ても嫌だが、あまりにも信念が先走るとこうなるよね、と。 不三子の母親のエピソードも強烈だ。今の若い読者は、社会で絶対的に正しいとされたことが全否定されることがある、ということを知らないのかもしれない。 昭和の末生まれにとっては、終戦で価値観がひっくり返ったという話は、さして目新しくもないのだが。

二人のことが代わる代わるでてきて、二人が絡みあったときようやく会えたーって感じて。みんな考えてること、一緒だね。ヒーローにならなくても、なれなくてもいいんだよ