作品紹介・あらすじ
感想・レビュー (1件)
腐女子読みの赤江瀑 赤江瀑はどんな小説かと聞かれると、 短編なのに、まるで長編を読んだような読了感。 私にとって赤江文学は喩えるなら阿片的魅力。タブー感。恐ろしいのに美しいと感じてしまう。 至高の芸域にたどり着こうとする人々の悲劇、男と男の触れ合いも、鳥肌が立つほど妖しく美しい。京言葉も欠かせない魅力です。 「禽獣の門」「阿修羅花伝」を再読、すっかりハマってしまった。私は歌舞伎やバレエは門外漢なのですが、大人になって能は少しばかり習っているので、より味わい深いです。 「禽獣の門」 能楽のシテ方S流家元の次男坊・春睦。将来を嘱望されながら能を辞めてデザイン会社に勤めた。新婚旅行を兼ねて訪れたある島で、春睦・あかね夫婦は漁師の若者に陵辱されてしまう。 この若者の背中の傷の秘密を知ったことで、運命が狂い始めるーー。 引き金となったのは、若者との背徳的な性戯。それからというもの、春睦は化け物に心を乗っ取られ、妻は寂しさのあまり男漁りをするように。一度は捨てた能の世界に戻り、春睦は新作能を掲げ、神の依代となる肉体へと変貌してゆく。 いつの間にか幻想的な世界に足を踏み入れていることに気がつく。 「禽獣の門」は春睦の青春時代、続編「阿修羅花伝」では、家元となった春睦と雪政コンビが再登場します。春睦と雪政の絆も好き。 初出/昭和46年5月号「小説現代」 「阿修羅花伝」 春睦の舞姿に魅入られた若き能面師の芸術への妄執と、その姉の情念を描く傑作短編。 あの凄まじい醜悪な面で、なんで…一生でも抱きしめていたいと思うような女が描けるのか… 〈橋姫〉と言われる、怨霊の女面に欲情した雨月青年。 志が高ければ高いほど、傷つく。美しい青年の変わり果てた姿が痛ましい。まるで弟に恋しているような姉。雪政の人情味。ラストは寂寥感に苛まされました。 初出/昭和48年12月号「小説現代」