わたしの知る花

わたしの知る花

町田そのこ
中央公論新社 (2024年7月22日発売)
ISBN:9784120058066
本棚登録:158

作品紹介・あらすじ

「あんたは、俺から花をもらってくれるのか」 虫も殺せぬ優男、結婚詐欺師……? 77歳で孤独死した老人の、誰も知らない波瀾に満ちた意外な人生とは? 『52ヘルツのクジラたち』町田そのこの新作は、一人の男と美しい花を巡る物語。

感想・レビュー (5件)

町田そのこさんの作品で1番好き まず、装丁が好き はじめから予測はできてたけど泣いてしまった

高校生安珠は、頻繁に公園に絵を描きにくる、得たいの知れない老人に会い、興味を持つようになった。同年代の祖母にその老人について話して、なぜだかその人の人生を知りたいと思うようにもなってきた。 花・花束が人々の人生の大切な時間に現れる。涙する不器用な人たちの人生と、愛が浮き彫りにされる作品。

公園で出会った老人が気になる女子校生。2人は数奇な運命で繋がっていて…純粋すぎる彼と関わった、様々な人たちの過去と現在と愛を描いた作品。

装丁に惹かれた。町田そのこさんの本にハマっていたけど珍しくあまり惹きつけられなかった。 たくさんの言葉の中でかえさんの言葉が残った。 大事なひとが笑っている、それだけでいい。近くにいるとか、触れていられるとか、望み過ぎだと思えばいい。豊かな時間を過ごしたなら、幸福を共有したのなら、それだけで奇跡なの。その時間に縋れば、もっともっとと望めば、その瞬間の輝きすらもくすんでしまう。だから、その時間を芯として生きるの。そうするとね、強くなれる。 芯はね、自分の力で集めて作るものよ。思い出や、自信。 まっすぐに生きてきたひとは、いつか愛される。まっすぐに誰かを求めたひとは、いつかまっすぐに求められる。背中を、追ってくれるひとが現れる。

平さんと、悦子さんの、長くて、素敵な恋の物語。最後に会えて良かったね。孫の杏珠にも、会えた、数奇な運命の物語。