匿名ユーザー

2026年6月11日

この本は何十年も前から美しい小説だと聞いていたが、森鴎外の文語訳が読解できず長年諦めていた。 書店で安野光雅さんの口語訳を見つけ飛びついて買った。 イタリアの美しい風景、アントニオとベルナルドの友情を培う経緯。歌姫アヌンツィアタを愛するも、恋敵となったベルナルドとの葛藤に苦しむアントニオ。旅に出た彼は、数々出会った人に救われ、いつしか慰められていく。すれ違いを重ねてようやく再会したアヌンツィアタは、アントニオを愛していたと告げたが、なぜか身を引いていく。その後暫くして病死。傷心のアントニオは、以前旅先で出会ったララと再会し、結ばれる。盲目だった少女は、すっかり目が見えるようになっていたのだ。 最後の最後まで美しい風景と心理描写で終わる物語は、一枚の絵画としていつまでも私の心に残っている。 不運と幸運、出会いと別れ、信頼と裏切り、絶望と希望…人生のあらゆる経験をした後に得られたものは、磨き上げられた水晶玉のよう。アントニオとララでこの水晶玉を守っていくことだろう。 安野光雅さんはぜひ森鴎外の訳を読んでほしい、とのこと。 いつかチャレンジしてみたい。

口語訳 即興詩人(下)

口語訳 即興詩人(下)

安野光雅/森鴎外/アンデルセン

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