作品紹介・あらすじ
高齢者が国民の三割を超え、破綻寸前の日本政府は「七十歳死亡法案」を強行採決。施行まで二年、宝田東洋子は喜びを嚙み締めていた。我儘放題の義母の介護に追われた十五年間。能天気な夫、引きこもりの息子、無関心な娘とみな勝手ばかり。やっとお義母さんが死んでくれる。東洋子の心に黒いさざ波が立ち始めて……。すぐそこに迫る現実を描く衝撃作!
感想・レビュー (1件)
久しぶりの柿谷美雨さんの小説。過激なタイトルだけど、中味は家族をめぐる再生のストーリー。 70歳で誰もが死ぬことが法律で決まり、介護から解放されるとほっとする者。頑張ってこの国の繁栄を築いた老人たちの苦労をないがしろにしていると憤慨する者。重すぎる税負担にあえぐ若者たちの安堵。思いはまちまちだが、それぞれの立場に納得する。 日本はもうこんな所まで来ているのだろうか。現実味がある。